2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 芽味 九州大学, 大学院数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 代数多様体 / エタールコホモロジー / Lefschetz跡公式 / Langlands対応 / 関数体 / p進表現 / Hecke環 |
Research Abstract |
以前私が証明したLefschetz跡公式に関する藤原の跡公式のp冪捩れ係数版を, より一般の状況の下で証明した。以下にLefschtz跡公式の詳細, 及びどのように一般化できたかを記す。 Lefschetz跡公式とは, ある代数多様体上からそれ自身への変換の固定点の個数が, コホモロジーの言葉で書けるという定理である。多様体が標数pの有限体上で定義されていれば, 変換にp乗写像を十分合成させることでLefschetz跡公式が成り立つであろうことをl進(lはpと異なる素数)係数エタールコホモロジーに対してP. Deligne氏が予想し, 藤原一宏氏が最も一般な状況の下で証明を与えた。これが藤原の跡公式である。以前私は藤原の跡公式のp冪捩れ係数版を証明した。しかしp捩れ以外(nを2以上の整数としてpのn冪捩れ)の場合は多様体が固有な場合しか証明できていなかった。私は本年度, 固有でない多様体に対してもpのn冪捩れ係数で幾つかの仮定の下Lefschetz跡公式が成立することを証明した。そのような一般化により, 固有でない代数多様体の変換の固定点の勘定を法p冪で行う際に応用できると期待される。 またエタールコホモロジーなどの代数多様体に対するエタールコホモロジー理論でp進Langlands対応を研究するために, p進Hodge理論, p進代数群のp進表現及び法p表現を研究した。その結果, 解決できれば関数体のp進Langlands対応の発展に寄与すると思われるいくつかの問題を発見することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
p進Hodge理論, p進代数群のp進表現の研究に関して, 問題は幾つか見つかったものの, それを解決することができなかった。また当該年度結果が得られたエタールコホモロジーの研究も, それを用いてモジュラー多様体のエタールコホモロジーで構成されるp進Galois表現やp進群のp進表現を解析するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
10.で述べたp進Hodge理論, p進代数群のp進表現及び法p表現に於いて, 当該年度定式化した問題を解決することを第一目標に掲げる。具体的には, 次の問題に取り組む : ①等標数局所体のp進Galois表現の過収束性及び2次元trianguline表現の分類, ②p進表現におけるHecke環の理論の構築。①の為に, p進Galois表現と本質的に同じ対象であるJ. M. Fontaineの環上のφ加群に対し, 低次元の分類や(φ, Γ加群)との相違などを詳しく研究する。②の為に, M. Emerton氏等によるp進代数群の局所解析的表現の理論を研究する。
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