2013 Fiscal Year Annual Research Report
持続的低炭素社会の実現に向けた万能型二酸化炭素分離膜の創製
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13J04070
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笠原 奨平 神戸大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 二酸化炭素分離 / 促進輸送膜 / アミノ酸イオン液体 |
Research Abstract |
本研究では様々な性状を有するガスに対して有効に機能する万能型CO_2分離膜の創製を目指し、アミノ酸イオン液体(AAIL)含浸液膜に関する研究を行っている。AAIL含浸液膜は優れたCO_2分離性能を示す一方で二つの大きな問題点がある。一つは耐圧性の低さであり、もう一つは低温条件における分離性能の低さである。これらの解決は本研究達成のために不可欠な要因であり、研究実施計画として挙げている。本年度の研究では上記二つの問題点に対してめざましい進展を加えた。以下にその成果を詳述する。まず、耐圧性について。本研究では柵含浸液膜の耐圧性向上手法として、ゲル膜化を提案している。本年度の研究では、モノマーのAAILに対する相溶性やAAIL溶媒中における重合性などを検討することによりAAI轟を高分子ゲル化することに成功たした。AAILを溶媒とする高分子ゲルに関する報告はこれまでに一切なく。非常に新規性がある。また、圧縮試験結果より、創製したAAIL高分子ゲルは高い機械的強度を有することが明らかとなった。本結果より、AAIL高分子ゲル膜を作製することができれば高い耐圧性を有する分離膜が得られると期待できる。ゲル膜化検討の結果、鋳型中でAAILを高分子ゲル化させることでAAILゲル膜を得ることに成功した。ガス透過試験の結果、AAILゲル膜は高いCO_2選択透過性を有することが明らかとなった。続いて、低温条件における分離性能について、AAILはCO_2を吸収することで粘度が劇的に増大することが知られており、それにより分離性能が低下すると考えた。本年度の研究では、CO_2吸収に伴うAAILのFT-IRピークの変化を追うζとにより粘度増大の原因が錯体間水素結合によるものであることを実験的に明らかにした。また、錯体問水素結合にはCO_2吸収前に存在するアミノ基上の水素が関与していることを明らかとし、脱プロトン化したアミンを有する反応性イオン液体を用いることで粘度増大抑制および低温条件における分離性能の低減を抑制することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
万能型二酸化炭素分離膜創製において障壁になると思われた二つの課題に対してプレイクスルーを達成し、研究課題に対してめざましい進展を加えることができた。それぞれの解決には一年程度要すると考えていたため、本年度の成果は当初の研究計画以上に大幅に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果より、広範な温度域において高いCO_2選択透過性を有する反応性イオン液体含浸膜に関する重要な知見を得ることができた。しかし、本年度ではそめような性能を発揮し得る構造に関して墓礎的な検討しか行えておらず、さらなる性能の向上が必要となる。現状の分離膜よりさらに高い性能を発揮させるためには、反応性イオン液体の粘度低減およびCO_2吸収量増大を達成する必要がある。次年度の研究ではこれらを達成するために、現状の反応性イオン液体に対してアルコキシ基の導入および低分子化を考えている。イオン液体に関する研究では、分子内にアルコキシ基を導入することにより粘度を劇的に低減させることができると報告されている。また、イオン液体の分子サイズを低減することでアミノ基密度を増大させ、CO_2吸収量を増大させることができると考えている。
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Research Products
(11 results)