2013 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシス制御破綻による腫瘍悪性化の遺伝学的解析
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13J04073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀧野 恭子 神戸大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Rab5 / 細胞間相互作用 / 細胞増殖 / エンドサイトーシス / Hippo経路 / JNK経路 / 細胞死 / ショウジョウバェ |
Research Abstract |
がんの発生・進展過程において、細胞間の相互作用を介したがん原性変異の協調が重要な役割を果たしていると考えられている。我々は、がんの発生・進展を駆動する細胞間コミュニケーションの分子基盤を生体レベルで解明するため、ショウジョウバエ上皮をモデル系とした遺伝学的スクリーニングを行った。具体的には、まずショウジョウバエ複眼原基の上皮組織において、活性化型Ras (RasVl2)を発現する細胞クローンを誘導すると、良性腫瘍が形成される。このRas誘導性良性腫瘍に対してさらなる突然変異を導入し、変異細胞自身ではなく周りの正常細胞群が過剰に増殖する変異体(non-cell autonomeus groyth (nag)変異体)をスクリーニングした。その結果、初期エンドソームの形成・機能に関わる低分子量Gタンパク質rab5遺伝子の変異体が単離された。rab5変異が駆動する細胞非自律的な増殖促進機構を遺伝学的に解析した結果、rab5変異細胞内でc-Jun N-terminal Kinase (JNK)経路とRas経路が活性化されることがわかった。これら両経路が協調してがん抑制経路Hippo経路を不活化し、その標的遺伝子Unpaired (Upd)(IL-6ホモログ)の発現が誘導されることで、周辺細胞の増殖が促進されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
rab5変異細胞群がいかにして、周囲の正常細胞群に増殖能を付与するのかそのメカニズム一端を解明することができた。2014年3月20日現在諭文投稿中である。当初の予定では25年度中に論文の受理を目指していたため、若干の遅滞は否めないが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
rab5変異細胞群と正常細胞の細胞間相互作用を介した細胞増殖機構を明らかにする中で、JNK経路とRas経路の活性が重要であることをつきとめたが、これにRhoファミリーGタンパク質であるCdc42が関わることが示唆されているため、そのメカニズムに関してさらに詳細な解析を行う。また、最近報告があったrab5と細胞競合の関わりに関しても解析を行う。
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Research Products
(2 results)