2013 Fiscal Year Annual Research Report
フランシス・プーランクのオペラ作品における音楽的ドラマトゥルギー
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13J04078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 玉藻 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 音楽学 / 舞台音楽研究 / 20世紀 / フランス / オペラ / 資料研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀フランスの作曲家、フランシス・プーランクのオペラ作品について、資料研究と楽曲分析の双方から、そのドラマトゥルギーを考察するものである。平成25年度の研究実施状況の詳細と、その結果は、以下のとおりである。 2013年6月には、イタリア・ミラノのブライデンセ国立図書館リコルディ・アーカイブで資料調査を行った。これにより、先行研究がこれまで全く調査してこなかった資料について、詳細な内容を明らかにすることが出来た。その結果は、月末にイギリスのキール大学で行われた国際学会で発表し、作曲家の自筆楽譜資料に基づいた分析を発展させた実証的な論を展開することができた。 この学会を含め、平成25年度には、3回の海外発表と、国内での発表を1本行った。特に、前述のキール大学の発表では、学会参加者で唯一の日本人研究者として、また唯一2つの口頭発表を行う発表者として参加することができた。内容に関しても、第一線の研究者の方々から好評を博し、そうした研究者の方々の知見を得られたとともに、日本における西洋音楽研究の進捗状況を広めることが出来た。また、国内での発表では、これまで公開されていなかった資料を日本で紹介したため、多くの研究者の方々が発表を聞きにいらしてくださり、大変有意義な意見交換をすることが出来た。 また、博士論文の執筆も順調に進み、平成25年度内で、予定の半分の量を書き終えることが出来た。参照すべき一次資料の量が予想以上に多く、調査の進展とともに書き直しや情報を追加などを行っているが、執筆のスケジュールは予定通りである。論文が完成した際には、必ずやプーランクのオペラ研究に新たな地平を開くこととなるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究は、研究開始時に予定していた計画以上に進展した。 キール大学での国際学会では、当初、口頭発表を一つ行う予定だった。しかし、直前になって発表辞退者が出たため、もう一つ口頭発表をしてほしい、と主催者側から要請があった。そのため、出発までの1週間で、口頭発表に必要な全ての資料と発表原稿を作成した。この二つ目の発表は、実は博士論文の中で重要な位置をしめる部分だったため、急の要請とはいえまとまった形にすることで、その後の論文執筆に大変役立った。 イタリアでの資料調査では、未発見の資料の存在を明らかにし、その内容も調査してくることができた。予定になかった資料の存在は、研究の調査すべき項目を大幅に増加させたが、間違いなく新たな知見をもたらしてくれることだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を円滑に進める上での方策は、特に以下の2点に集約される。 第一に、研究対象の作品に関しては、イタリアの資料を含め未だ調査を完了していないものがあるので、それらの早急な情報収集と分析を行う。したがって、来年度には資料調査を可能な限り多く行い、現在参照できる関連一次資料を出来る限り早く調査したい。これら調査の結果は、学会での発表などで広めていきたい。 第二に、調査と並行して博士論文の執筆を進める。すでに述べたように、論文の執筆は半分が終了しているので、残りの部分の早期完成を目指す。この間、資料調査とその分析の進展に応じて、論文の構成などの見直しを適宜行う。
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Research Products
(6 results)