2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04092
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤本 真悟 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 性淘汰 / 実効性比 / 緯度 / 配偶者選好 / 二次性徴形質 / 装飾 |
Research Abstract |
日本のメダカは高緯度の集団ほど、オスの二次性徴形質の度合いが弱く、配偶行動も消極的である。このような形態と行動の緯度間変異をもたらす、野外の生態的要因および遺伝的基盤を明らかにするため、青森と沖縄の2集団を用いて検証を行った。本年度は青森での野外調査を行い、年間の繁殖状況を追跡した。昨年度に沖縄で行った同様の調査と比較したところ、青森の集団は沖縄と比べて、繁殖可能な雌雄の出現が短期間に集中しており、繁殖可能な雌雄の比率(=実効性比)は1:1に近付いた。以上の結果は、繁殖期間の違いが実効性比の偏りの違いを生じることで、高緯度ほど性淘汰圧が弱まることを示唆する。緯度に沿った繁殖期間に応じて実効性比が変化するという本研究の結果は、生活史の変化が性淘汰の強さを規定することを明らかにするものであり、メダカに限らず動物の行動生態一般を考える上で興味深い実証例となるだろう。 野外調査と並行して、青森と沖縄の野生個体からF_2を作出し、得られた約400個体について形態計測および配偶実験を実施した。QTL解析の結果から、二次性徴を示す尻鰭と背鰭の長さに関与する座位がいくつか検出され、個体の発生ステージにより異なるQTLが鰭の長さに寄与していることが分かった。また、配偶行動実験の結果から、二次性徴形質が過大な尻鰭と背鰭の長いオスほど、抱接の際にメスから受け入れられやすいことが明らかになった。メダカの長い鰭はこれまで、受精率などオスの繁殖成功によって維持されていると考えられてきたが、本研究により、メスの選好性も寄与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた野外調査および、F_2の飼育と配偶行動実験がすべて完了した。25年度の目的として挙げた、繁殖行動の違いをもたらすQTLの解析は完了まで至らなかったが、代わりに26年度に予定していた、メスの配偶者選好に対するオスの二次性徴形質の影響の解析が前倒しで進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査によって得られた集団間での実効性比の違いについて、26年度中に論文を聖りまとめる方針である。また、求愛や競争といった配偶行動の集団間変異に関するQTLを特定するため、実施済の配偶行動実験の結果を取りまとめ、QTL解析を進める。
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Research Products
(5 results)