2014 Fiscal Year Annual Research Report
うつ様行動発症機構における「アミノ酸代謝異常説」の展開
Project/Area Number |
13J04145
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長澤 麻央 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | うつ病モデル動物 / L-セリン / シスタチオニンβ-シンターゼ / 小脳の形成不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病は一旦発症すると社会復帰が難しく、自殺に繋がることもある。そのため、うつ病の発症メカニズムの解明が急務である。本研究では、アミノ酸代謝を起点にうつ病の病態メカニズムの探索を目的とした。これまで、うつ病モデル動物であるWistar Kyoto (WKY)ラットにおける脳内セリン代謝異常を明らかにし、WKYラットの脳内で減少が確認されたL-セリンの単回ならびに長期給与が抗うつ様効果を誘導することを確認した。しかし、情動制御の中心的な役割を担う脳において、単回投与後ではL-セリンが、長期給与後ではD-セリンの増加が確認され、その作用メカニズムには不明な点が残った。そこで、L-セリンの単回ならびに長期給与が不安様行動へ及ぼす影響を評価したところ、単回投与後には不安様行動が認められたが、長期給与後には抗不安様行動が誘導された。以上より、L-セリンは代謝動態の違いにより異なる作用メカニズムを介する可能性が示唆された。また、WKYラットにおける脳内セリン代謝異常が脳機能に及ぼす影響を検証した。WKYラットの脳内では、セリンならびに代謝産物であるシスタチオニン含量が低下したが、この代謝に関わるシスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)が脳形成において重要な役割を担うことが報告されている。そこで、WKYラットにおけるCBSの遺伝子発現量と脳形成を評価したところ、小脳におけるcbsの減少と小脳の形成不全が確認された。小脳の形成不全は自発運動量の低下を誘導することが報告されており、WKYラットにおいても同様の行動異常が確認された。うつ病患者においても症状の一つとして自発運動量が低下することから、脳内セリン代謝異常とうつ病の発症メカニズムとの関連が示唆された。本研究成果はうつ病の発症メカニズムと脳内セリン代謝との関連を示唆しただけでなく、新たなターゲットとして小脳の機能解析の重要性を提唱した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)