2013 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素応答におけるHIF2αを介した炎症抑制機構の解明
Project/Area Number |
13J04180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相馬 桂 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員DC2
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Keywords | 低酸素応答 / HIF2α / 肺高血圧 / M2マクロファージ |
Research Abstract |
本研究では、M2マクロファージに強く発現するHIF-2αが炎症の遷延を抑制することにより、血管の慢性炎症である肺高血圧症の発症抑制に関与している可能性について検討を進めることを目的としている。in vivoからの検討として低酸素チャンバーでマウスを飼育すること、およびVEGF受容体阻害薬(SU5416)投与で肺高血圧モデル、肺血管リモデリングを引き起こし、ここで発症する肺高血圧症においてマクロファージがどう挙動するかを解析した。低酸素環境下でマウスを21日間飼育すること、SU5416投与いずれにおいても中等度の肺高血圧モデルマウスを作成することができた。マウス肺血管の組織標本においてはF4/80陽性のマクロファージの集積が確認された。経時的に肺の血球系細胞の極性変化をフローサイトメトリーで解析したところ、肺のマクロファージは主にCD11c陽性の肺胞マクロファージとCD11c陰性F4/80陽性Ly6C陽性の肺問質炎症惹起型(M1)マクロファージ、CD11c陰性F4/80陽性Ly6C陰性の肺間質炎症抑制型(M2)マクロファージに分類できた。低酸素刺激後急性期には肺間質炎症抑制型マクロファージが増加し、肺胞マクロファージが減少した。また、マクロファージ極性が変化するタイミングで肺血管平滑筋層の肥厚が生じ、右室圧が上昇した。 さらに、肺血管リモデリングの病態におけるマクロファージの働きを見るためにクロドロネートリポソーム静注で肺間質マクロファージをdepleteしたところ、低酸素負荷後の肺血管平滑筋層の肥厚が抑えられた。以上より低酸素下での血管リモデリングにマクロファージが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの肺高血圧モデルは重症化しにくく、phenotypeが出にくいので差を出すために多くのNを必要とするため
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Strategy for Future Research Activity |
当初、M2マクロファージは肺高血圧抑制にかかわると予想していたが、解析により、肺血管リモデリング発症に重要な役割を果たしていることが判明してきた。このM2マクロファージの低酸素応答を見るために現在、マクロファージ特異的HIF-2α欠失マウス(LysM/HIF-2a CKO)を樹立しマクロファージ細胞特異的HIF-2α機能の解析を行っている。 また、今後この肺高血圧発症時に集積するM2マクロファージを回収しRNAseqにより低酸素で活性化するリモデリング誘因因子を探索していく予定である。
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Research Products
(2 results)