2013 Fiscal Year Annual Research Report
CD4陽性CD25陰性LAG3陽性 制御性T細胞による抗体産生機構の解明
Project/Area Number |
13J04186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 薫 東京大学, 医学部付属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 制御性T細胞 / Egr2 / Egr3 / LAG3 / B細胞 / 自己抗体 / 全身性エリテマトーデス |
Research Abstract |
1. 「研究目的」 : 制御性T細胞(regulatory T cell : Treg)は、自己および外来抗原に対する免疫寛容誘導において中心的な役割を果たしている。当研究室では抗原特異的な免疫抑制能を有するCD4陽性CD25陰性LAG3陽性Treg(以下、LAG3^+Treg)を同定しており、転写因子Egr2がそのマスター制御遺伝子と考えられている。EGR2は自己抗体産生を特徴とする代表的自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患感受性遺伝子であり、T細胞特異的なEgr2コンディショナルノックアウト(Egr2CKO)マウスがSLE様症状を呈することが報告されている。しかしながらその発症は緩徐であり、Egr3による機能補完が想定される。本課題ではT細胞特異的Egr2/Egr3ダブルCKO (Egr2/3DKO)マウスを作製し、T細胞におけるEgr2E/gr3による免疫恒常性維持機構を明らかにする。 2. 「H25年度の研究成果」 : Egr2/3DKOマウスの作製とその解析 CD4-Creマウスに、Egr2-floxed及び、Egr3-floxedマウスを交配することでEgr2/3DKOマウスを作成し、そのSLE様病態につき評価を行った。その結果、顕性蛋白尿出現はEgr2CKOマウスが生後8ヶ月であったのに対し、Egr2/3DKOは生後3ヶ月より認め、血清dsDNA抗体の有意な増加を伴った。生後4ヶ月における病理組織学的解析では、腎糸球体における管内性細胞増殖とIgG沈着を伴うループス腎炎の所見を認めた。その他、皮膚・肺・大腸にも炎症細胞浸潤が認められた。生後12ヶ月における致死率に関しては有意な差を認めなかった。また、脾臓リンパ球のフローサイトメトリー解析では、野生型ではわずかしか認められない胚中心B細胞、形質細胞、濾胞型ヘルパーT細胞の増加をEgr2CKOマウスで認め、Egr2/3DKOマウスではより顕著な増加を認めた。 3. 「研究成果の意義および重要性」 : 上述の検討により、T細胞におけるEgr2/Egr3発現が相互補完的に機能することで、自己抗体産生を介した自己免疫疾患発症制御において重要な役割を果たしていることが初めて明らかとなった。本知見は自己抗体産生機構における分子制御メカニズム解明の重要な足掛かりとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はEgr2/3DKOマウスの作成およびその表現型解析を行い、研究計画の当初の目標は達成した。野生型、Egr2CKOおよび、Egr2/3DKOマウスのLAG3^+Tregのマイクロアレイ解析は、解析に必要なマウス数の確保に期間を要しており、平成26年度前半に行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はT細胞におけるEgr2/Egr3発現とB細胞抗体産生制御機構の関連につき、LAG3^+Tregの機能解析を中心に研究を推進する。また野生型、Egr2CKOおよび、Egr2/3DKOマウスのLAG3^+Tregに関するマイクロアレイ解析に加え、Egr2/Egr3が制御する遺伝子の検索に関してChIPsequenceを行うことで、LAG3^+Tregによる抗体産生制御機構に関わる新規候補遺伝子の同定を目指す。本検討にて同定された新規候補遺伝子はretro virus vectorを用いた発現系にて機能解析を行う。
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Research Products
(1 results)