2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J04206
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤川 晃一 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属特異性 / 蛍光指示薬 / EGTA / 亜鉛 |
Research Abstract |
本年度は、NMDA受容体を構成するGluN2Aサブユニットに存在するとされるZn2+結合部位に結合しグルタミン酸誘発性神経細胞死を抑制する一方で、脳虚血時には神経終末から大量に放出され、ミトコンドリアを傷害することで神経細胞死を誘発するとされる亜鉛イオンに着目した。そこで、これに関する実験を遂行するにあたり使用する試薬の亜鉛イオンおよびカルシウムイオンに対する特異性の評価を行った。 カルシウム特異性が高いとされる試薬には、キレーターであるEGTAやBAPTA, 蛍光指示薬であるFluo-3やRhod-2があり、亜鉛特異性が高いとされる試薬には、キレーターであるTPEN, 蛍光指示薬FluoZin-3, イオノフォアpyrithioneがある。細胞に蛍光指示薬を取り込ませ、カルシウムイオンおよび亜鉛イオン存在下でこれらの試薬を添加し、蛍光強度の変化を観測し、試薬のイオン特異性を評価した。また、これら試薬存在下で亜鉛を曝露し、亜鉛誘発性の細胞死に対する影響をPI/Hoechst染色およびMTTassayを用いて評価した。 今回の結果より、亜鉛の研究分野で広く用いられているpyrithione、TPEN、FluoZin-3はカルシウムとはほとんど反応せず、亜鉛と特異的に反応することが示された。一方で、カルシウムキレーターとして知られるEGTAやカルシウム指示薬Fluo-3、Rhod-2は、カルシウムだけでなく亜鉛にも反応することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経毒性出現への関与が示唆される、ミトコンドリア内遊離カルシウムイオン濃度の定量的測定に向けて、カルシウムイオン応答性の高い各種試薬類のイオン選択性を再検討中した。その途中結果では、従来カルシウム選択性が高いとされる試薬類のほとんどが、遊離亜鉛イオンに対しても同程度の親和性を示すことを見出し、現在論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グルタミン酸とともに神経終末から放出される亜鉛に着目し、各種UCPやMCU発現に対する亜鉛の影響を評価し、また、各種UCPやMCUの過剰発現およびshRNAによるノックダウンを行ったNMDA受容体発現HEK293細胞を用いて、細胞質内およびミトコンドリア内へのカルシウムの流入量の検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)