2013 Fiscal Year Annual Research Report
TEMナノインデンテーション法を用いた粒界-転位相互作用の解明
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13J04234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 隼 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 粒界-転位相互作用 / 機械特性 / 透過電子顕微鏡法 / TEMその場観察 |
Research Abstract |
本年度は、材料変形中における結晶粒界面上の不動転位が格子転位の運動に与える影響を解明することを目的とした。本研究では結晶粒界面上に不動転位を導入するために2種類の小角粒界(小傾角粒界及び小角ねじり粒界)を双結晶法により作製し粒界面上に刃状転位、らせん転位をそれぞれ導入した。さらにTEMナノインデンテーション法により双結晶試料に応力印加することで、導入される格子転位とそれぞれの粒界転位の相互作用を動的に直接観察することに成功した。 小傾角粒界の場合、インデンテーションにより導入されたらせん転位は粒界面を跨いで他方の結晶粒に伝播することが確認された。詳細な転位解析から、らせん転位が通過した範囲では粒界刃状転位上にジョグが形成されていることが確認された。よって、らせん転位は粒界刃状転位と切り合うことで、小傾角粒界を跨いで伝播し、切り合いの結果として粒界刃状転位上にはジョグが、格子転位であるらせん転位上にはキンクが形成されることが分かった。一方、小角ねじり粒界の場合、らせん転位は粒界を跨いで他方の結晶粒に伝播せず、粒界面上に堆積した。このように格子転位であるらせん転位と小角ねじり粒界との相互作用は小傾角粒界と比較して大きく異なっていることが分かった。この差異は粒界転位と格子転位の切り合いメカニズムから説明することができる。小角ねじり粒界の場合、格子転位、粒界転位共にらせん転位であるため格子転位が粒界を跨いで伝播するためにはらせん転位同士の切り合い過程が必要である。しかしながら、らせん格子転位上のジョグは転位の運動方向にすべり面を有していないため、転位の伝播には原子空孔もしくは格子間原子の生成過程が必要である。室温においてこのように原子拡散を必要とする過程は転位の運動に対する大きな障害になると考えられ、転位は粒界面上に堆積したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は透過電子顕微鏡を用いた応力印加その場観察法を確立し、さらに当初の予定通り格子転位と粒界転位の相互作用メカニズムの解明に成功した。以上の理由より当研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、今後は大角粒界と格子転位の相互作用に着手し、粒界における特異な原子構造が転位の運動に与える影響についてTEMナノインデンテーション法及び双結晶法を併用することで解明する。
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Research Products
(7 results)