2015 Fiscal Year Annual Research Report
TEMナノインデンテーション法を用いた粒界-転位相互作用の解明
Project/Area Number |
13J04234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 隼 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粒界-転位相互作用 / TEMその場観察 / 機械特性 / 透過電子顕微鏡法 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶粒界と転位の相互作用は機械特性を決定づける重要な現象である一方、微視的かつ動的な現象を直接捉えることが困難なために実験的知見が不足しており、その相互作用メカニズムに関しては未解明な点が多い。また粒界は隣接結晶粒の相対方位関係や粒界面方位に依存して様々な構造を形成し、それぞれの粒界が異なる粒界性格を有しているため、個々の粒界と転位の相互作用メカニズムに関する知見が望まれている。そこで本研究ではモデル材料にチタン酸ストロンチウムを使用し、双結晶法によって作製された単一粒界に対して透過電子顕微鏡内で試料に局所的な応力を印加することが可能なTEMナノインデンテーション法を応用することで、粒界存在下における転位の微視的挙動の直接観察を行い、個々の粒界と転位の相互作用メカニズムを解明することを目的とした。モデル粒界には[010]方向を回転軸とする回転角1°の小傾角粒界及び回転角36.9°のΣ5大傾角粒界、[110]を回転軸とする回転角109.5°のΣ3大傾角粒界を用いた。TEMナノインデンテーション実験では粒界付近にインデンターチップを挿入し、導入される転位と粒界の相互作用をその場観察した。TEMナノインデンテーション実験の結果、バースベクトル[110]を有する格子転位が導入され、それぞれの粒界の相互作用する様子を直接観察することに成功した。小傾角粒界及びΣ3粒界では粒界を跨いで格子転位が伝播する様子が観察された。一方Σ5粒界においては格子転位は粒界面上に堆積し、粒界が転位の伝播を大きく阻害していた。この結果より転位の伝播の可否は粒界の相対方位差の大小ではなく、伝播に際して形成される粒界残留転位の形成エネルギーが大きく影響していることが示唆された。これは個々の粒界の存在が変形中の転位挙動に対して与える影響を考える上で重要な実験的知見である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)