2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物のクマリン特異的プレニル基転移酵素ファミリーの開拓と触媒機能の高次制御
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13J04235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
棟方 涼介 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プレニル基転移酵素 / クマリン類 / フラノクマリン類 / アシタバ / グレープフルーツ / パースニップ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにNCBIのESTデータを基にしてグレープフルーツ外果皮からO-プレニル基転移酵素(O-PT)の候補遺伝子を5つ取得したが、いずれもO-PT活性を示さなかった。そこで当該年度は主に、O-プレニル化クマリン類を高蓄積するセリ科草本のアシタバ(Angelica keiskei)を実験材料として研究を進めた。 アシタバ植物体から調製した粗酵素を用いて、ネイティブなO-PT活性の酵素化学的諸性質を解析し、アシタバに存在するO -PTは既知のC -PTと同様の膜結合型PTファミリーに属すると推定した。そこで、C-PTのアミノ酸保存領域を基に作製した縮重プライマーを用いてPCR及びRACEを行い、アシタバ由来total RNA逆転写産物から候補遺伝子全長cDNA(AkPT1)を取得した。タバコ属植物細胞発現系を用いた酵素機能解析により、アシタバのネイティブなO-PT活性を試験した結果、AkPT1がクマリン誘導体ベルガプトールに対するO-PT活性を有することを見出した。 また、食品科学分野等へのインパクトを考慮し、柑橘類に関しても継続して候補遺伝子の探索を行った。柑橘類O-PTに関する研究テーマが文部科学省支援事業「植物科学グローバルトップ教育推進プログラム」推進プロジェクトに採択された。本プロジェクトにより、次世代シークエンサーを用いたde novoアセンブリング等の指導を受け、グレープフルーツ外果皮のRNA-seqデータを作製した。本データを用いて既知のPTとの相同性検索を行い、新規のPT候補配列を複数種見出した。 その他、植物の化学防御物質であるアンギュラーフラノクマリンの生合成経路の解明に着手し、その初発反応を担う新規クマリンC-PTのcDNAをセリ科パースニップから単離・同定した。さらに、修士課程からの継続研究であったレモン由来のC-PTに関する研究成果を論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セリ科アシタバよりO-PT遺伝子を取得することができたが、植物サンプルを変更したことで、当初の計画より若干遅れてしまった。しかしながら、以下に示す二点の成果を考慮して、順調に進展していると評価した。まず、本研究が期待以上に拡がり、化学防御物質アンギュラーフラノクマリンの初発酵素遺伝子が同定されるという想定外の成果を得ることができた。さらに、植物グローバルトッププロジェクトにおいて、次世代シークエンサーに関する基礎的知識から実際の解析手法まで習得し、グレープフルーツ外果皮のRNA-seqデータの作製及び新規の候補遺伝子の発見に至った。生物学の幅広い分野で次世代シークエンサーを用いた大規模データ解析が必須となってきている中で、この技術を習得できたことは今後の研究人生にとっても非常に有益となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
セリ科アシタバより得られたAkPT1について、酵素機能解析に加え、細胞内局在の解析や器官特異的な発現量解析などを行い、論文にまとめる。特に酵素機能解析に関しては、既知のC-PTとのドメインシャッフリングを行い、C-プレニル化、O-プレニル化を決定するアミノ酸領域の同定を行う。さらに、セリ科とは植物系統的に遠縁である柑橘類グレープフルーツからも候補遺伝子が複数見いだされたため、これらのクローニング及び酵素機能解析を行うことで、これら遠縁の植物種がどのようにして共通するO-プレニル化クマリン類を蓄積するのかを解明する。その他、パースニップ由来のPTに関しても、AkPT1と同様に一連のデータセットを揃え、論文にまとめる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Molecular cloning and characterization of a geranyl diphosphate-specific aromatic prenyltransferase from lemon2014
Author(s)
Ryosuke Munakata, Tsuyoshi Inoue, Takao Koeduka, Fazeelat Karamat, Alexandre Olry, Akifumi Sugiyama, Kojiro Takanashi, Audray Dugrand, Yann Froelicher, Ryo Tanaka, Yoshihiro Uto, Hitoshi Hori, Jun-Ichi Azuma, Alain Hehn, Frédéric Bourgaud, and Kazufumi Yazaki
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Journal Title
Plant physiology
Volume: 166
Pages: 80-90
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Two membrane-bound prenyltransferases direct the synthesis of linear or angular furanocoumarins in parsnip2015
Author(s)
Ryosuke Munakata, Fazeelat Karamat, Alexandre Olry, Courdavault Vincent, Akifumi Sugiyama, Yoshiaki Date, Célia Krieger, Nicolas Papon, Emilien Fourreau, Jeremy Grosjean, Kazufumi Yazaki, Frédéric Bourgaud, Alain Hehn
Organizer
日本農芸化学会2015年度大会
Place of Presentation
岡山
Year and Date
2015-03-28 – 2015-03-28
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