2013 Fiscal Year Annual Research Report
風力発電事業における紛争解決を目的とした立地評価の方法論
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13J04239
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畦地 啓太 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 風力発電 / 環境紛争 / 立地 / ロジスティック回帰分析 / ドイツ / 空間計画 / プランニング / ゾーニング |
Research Abstract |
まず、2013年4月から7月までは、全国の総出力7.5MW以上の風力発電事業(供用中・計画中・計画中止を含む)を分析対象とし, 環境紛争の発生要因となる立地点・規模等の諸要因とその影響度を明らかにした。研究成果として、これまで断片的にしか示されていなかった環境紛争の発生状況について、網羅的な発生件数および主たる紛争論点を明らかにした。また統計解析を用いて環境紛争の発生要因とその影響度を定量的に明らかにした。この研究の成果は、風力発電事業者にとっては事業リスクを低減するための参考情報として、行政機関にとっては環境紛争を未然回避するための政策手段を講ずる際の基礎情報として、研究者にとってはさらなる個別具体的な研究のための包括的な視座として有意義であると考える。なお、この成果は2013年5月にカナダで開催された国際学会での口頭発表、および国内の当該分野を代表する学会誌への投稿により情報発信した。 2013年8月から2014年2月上旬までは、ドイツのベルリン自由大学環境政策研究センターに客員研究員として滞在し、ドイツの空間計画における風力発電所の立地コントロールの運用実態について研究活動を行った。この間、ドイツを代表する風力発電のイノベーションおよび計画プロセスに関する各研究者、風力発電事業者および事業者団体、環境保護団体、事例として選定したブランデンブルク州およびラインラント=プファルツ州の行政機関など計19団体(25人)にインタビュー調査を実施し、文献調査では把握することが困難な運用実態に関する詳細な情報を収集をした。帰国後の現在は、現地調査の結果をまとめている段階である。この研究の成果は、固定価格買取制度導入を契機として新規の風力発電事業数が大幅に増加している現在の日本において重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、国内を対象とした環境紛争の発生要因となる立地点・規模等の諸要因とその影響度に関する研究の完遂と、ドイツを対象とした空間計画における風力発電所の立地コントロールの運用実態に関する研究のため情報収集までであるが、現在はまさにこの計画通りの進捗である。そのため、自己評価として「①当初の計画以上に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。そのため当初計画の通り、次年度は、本年度におこなったドイツでの情報収集の結果を研究論文としてまとめ、情報発信する。また本研究の最終的な目的である、日本の条件に即した風力発電事業の立地評価の提言を行うため、主に国内の主要なステークホルダーにインタビューもしくはディスカッションを行う。また必要性に応じては、ドイツに短期間(1か月未満)の追加調査を実施する。
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Research Products
(4 results)