2013 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙論的な21cm線放射の将来観測によるニュートリノ質量とその階層構造への制限
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13J04260
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
大山 祥彦 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 宇宙背景放射(CMB) / 21cm線 |
Research Abstract |
ニュートリノは質量を持つ素粒子であるということが確認されているが、現在のニュートリノ振動実験の結果からは、3世代あるニュートリノの質量がどのような大きさの順になっているのか(質量階層構造と呼ばれる)ということは判明していない。このニュートリノの質量階層構造を決定することは、現在の素粒子の標準模型を越えた新しい物理理論を構築する上で必要不可欠な情報である。このようなニュートリノの性質を探る手法として、ニュートリノが宇宙の密度ゆらぎに与える影響を測定するという、宇宙観測を利用する方法が存在している。 以上の背景の元で私の行っている研究は、宇宙が再電離する時期に中性水素原子が放射する21cm線放射の観測を利用して, 宇宙の密度ゆらぎを測定することにより、ニュートリノの質量階層構造がどの程度の精度で決定できるのかについて定量的に評価することである。 本研究では前述した目的を達成するため、平成25年度に以下の研究を行った。 1. 将来の21cm線観測実験がニュートリノ質量階層構造に対して持つ観測の精度を評価する統計的手法(フィッシャー解析)の開発。 2, 21cm線観測と宇宙マイクロ波背景放射(CMB)という2つの異なる観測を組み合わせた解析方法の開発。この際、ニュートリノ質量に対する感度を増大させることのできるCMBの重力レンズ効果まで含めた解析手法の開発を行った。 3. より現実的な非一様な再電離まで考慮した21cm線のパワースペクトルの構築と、この場合に適用できるフィッシャー解析の計算コードの開発。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初1年目で計画していた内容に加え、2年日に予定していた。非一様な再電離まで考慮した21cm線のパワースペクトルを含んだ解析手法の開発まで達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は以上を踏まえ、1年目で開発した計算コードを利用し、21cm線観測計画と高精度CMB偏光観測の組み合わせによって、ニュートリノ質量和及び質量階層構造がどの程度制限可能かについて評価を行い、最終的に論文として学術雑誌に投稿することを計画している。
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