2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J04291
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
村橋 勲 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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| Keywords | 民族誌 / 文化人類学 / 南スーダン / 国際研究者交流 / 内戦と紛争解決 / 社会組織 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は、2011年にスーダンから分離独立した南スーダンにおいて、長期の内戦が地域社会に及ぼした社会的影響と、内戦後の地域社会が直面しているコンフリクトを調査することで、国家と地域社会との政治・経済的関係と地域社会に生きる人々の主体的な活動を人類学的に考察することである。
平成25年度の現地調査は、10月から12月にかけて南スーダンのロピットで実施した。調査では、生業、言語および社会システムに関する参与観察調査を行った。伝統的なロピット社会は、雨の首長、土地の首長そして年齢組織が政治の中心的な役割を果たしてきた。雨の首長は呪術的な力をもつ宗教的な存在である一方、土地の首長や壮年の年齢組織は政治的、軍事的、法的な力をもち、集落全体の意思決定を担ってきた。ロピットの複数の集落において聞き取り調査を実施し、ロピットの民族史に関する情報収集に努めた。
調査の結果、ロピットは、雨の首長、土地の首長、そして年齢組織の差異によっていくつかのサブ・グループに分けられることが明らかになった。奴隷交易や植民地支配など外的な影響を受ける19世紀以前から、ロピット周辺では各民族集団による頻繁な移動があり、現在のロピットが形成されてきたことが指摘できる。また、2度の内戦は、ロピット社会にも影響を与えた。とくに第二次内戦(1983～2005年)は、スーダン人民解放運動/スーダン人民解放軍(SPLM/SPLA)とスーダン政府軍との対立に加えて、SPLM/SPLA内の分裂によって紛争は泥沼化し、死者250万人以上、国内避難人および難民500万人以上という被害を出した。ロピット周辺においても民族集団、集落間の対立が顕著になり、地域紛争の激化と住民の武装化が進んだ。内戦以前は友好的だった隣接民族との間で、家畜の掠奪が頻発し、通婚や物々交換によって維持されていたつながりは失われた。内戦によって激化した民族集団間、集団内の対立は、内戦後も根本的に解決されていないか、もしくは新たな対立が生まれつつさえあるが、こうした葛藤の背景には、伝統的な社会集落内部での対立や長期化した内戦の影響だけでなく、独立後の南スーダン政府の国内統治における問題も明らかになった。現地調査で得られた知見は、日本国内での学会および南スーダンにおける国際フォーラムで発表した。
なお、12月以降、南スーダンは首都ジュバでの銃撃戦以降、各地で戦闘が発生したため、南スーダンでのフィールドワークを中断し、3月にオーストラリアでロピットの民族史に関する補足調査を実施した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロビットの関する社会システムの関する調査では、これまで報告例がなかった年齢組織の地域的差異および雨の首長の系譜に関する民族伝承を収集することができただけではなく、内戦下におけるロビット社会と周辺民族との関係の変化に関する情報を収集することができた。その結果、内戦後のロピットにおけるコンフリクトの歴史的背景が明らかになった。研究結果は国内学会および国際フォーラムで発表した。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初、本研究は南スーダンにおけるフィールドワークによって、独立後の地域社会における紛争解決と平和構築に関する研究を行う予定であったが、2013年12月以降、南スーダンで発生、拡大した戦闘によって、南スーダン国内でのフィールドワークは困難になった。国連の発表によると、現在進行形の国内の戦闘によって、すでに死者10,000人以上、国内避難民および難民100万人以上のいう甚大な被害が出ている。現状を踏まえ、今後、研究計画の変更を計画している。具体的には、ウガンダの難民村と都市部における南スーダン人を対象にして、南スーダン難民の社会的生活およびネットワークの創造と断絶を、彼らが置かれた政治・経済的状況から調査、研究していく。
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Research Products
(4 results)
