2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脳白質障害の多角的検討 -脳白質障害病態解明・治療法開発へ向けて-
Project/Area Number |
13J04334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 秀明 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳白質障害 / 中枢神経軸索障害 / 炎症反応 / 質量顕微鏡 |
Research Abstract |
脳内中枢神経軸索再生を最終目標に、治療すべき脳白質障害の病態解明を目指し研究を進めている。 白質として内包に注目し、ラット脳内包にエンドセリンを定位的に注入することにより、選択的に白質を中心とした障害を作成した。穿刺する部位、角度、深さと、注入するエンドセリンの濃度や量に関して最適化を行った。続いて、このモデルにて白質障害作成後時系列に沿って組織病理学的評価を行った。各種染色・免疫染色を行った結果、脱髄、軸索損傷、炎症、グリオーシスと起こっていることが再現性を持って確認できた。さらに長期にわたる組織病理学的検討を現在進行中である。 これらの組織病理学的検討に加えて行った質量顕微鏡を用いた解析では、白質病変作成2週間後の時点で、ED-1陽性細胞集積部位に一致してアラキドン酸を含むリン脂質の上昇を認めた。脳内炎症反応に関連するED-1陽性細胞とアラキドン酸の関連が示唆される結果となった。他の時系列での検討も進めているところである。 最終的には脳白質障害の治療を目指す。以上の様な経時的な解析により、治療される脳白質障害のどのタイミングが治療に適しているのかを検討すると共に、治療する細胞や栄養因子などに関しても検討中である。 中枢神経軸索障害の実験の多くは脊髄損傷モデル動物を用いることが多いが、このモデルは脳白質を選択的に傷害することにより、脳内の軸索損傷に関しての新たな知見をもたらし、また、今後増えてくる認知症やうつ病などの精神疾患と脳白質障害の関連に応用できる可能性があり非常に有用であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳白質障害の病態解明のため、脳白質障害ラットモデル作成法を確立し、これに関して時系列に沿って組織病理学的検討を行った。これに加えて、質量顕微鏡による解析を行い炎症細胞の集簇に関して新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成した脳白質障害ラットモデルの組織病理学的検討を中心とした解析をさらに推進し、治療ターゲットとなる脳白質障害の病態を解明し、どのタイミングが治療対象として一番良いか検討していく。また、脳白質障害の治療のために用いる細胞や栄養因子に関しても検討を進めていきたい。
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