2014 Fiscal Year Annual Research Report
十八世紀フランスにおける遠隔通信装置の感性-視聴覚的印象の問題を中心に
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13J04340
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺尾 佳子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ティフェーニュ・ド・ラ・ロッシュ / 18世紀フランス文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
わたしは、18世紀半ばのフランス文学作品に登場する光学装置についての研究をしている。想像上のもの、科学者が構想したもの、あるいはじっさいに製作の途上にあったものの区別は問わないが、いずれも、当時の社会で積極的には受け入れられなかった装置である。文学作品に描かれるこうした装置を分析の基軸にすえ、当時の視覚文化のコンテクストのなかで、これらの装置がいかに生成されたのかを考察する。また、同時代の作家、哲学者、批評家らや、文学作品内の登場人物が、こうした構想をどのように受け止めていたのかを問うことにより、この時代の知覚の問題をあらたな視座から描き出すことが研究の目的である。 平成26年度は、ティフェーニュ・ド・ラ・ロッシュのユートピア旅行記『ジファンティ』(1760)を取り上げ、同小説内に描かれる映像定着法に注目した。この技法が、当時の思想的状況において重要な地位を占めていたカメラ・オブスクラと密接に関わりながら、いかにこの時代の世界観に揺さぶりをかける考えであったのかを明らかにしようと試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、資料・情報収集のためにフランスに渡航し、また、得られたデータをもとに研究を行い、日本フランス語フランス文学会でその成果を発表した。このことから、おおむね計画通り、研究を進められたように思う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、昨年度までに行ってきた、ルイ=ベルトラン・カステルやティフェーニュ・ド・ラ・ロッシュについての研究のまとめを行う。そのために、18世紀当時の思想的背景に目を向け、かれらの著作をそれに照らし合わせて考察する。とくに、かれらと同時代に活躍していたドゥニ・ディドロやジャン=ジャック・ルソーらの思想との関わりを重点的に取り上げる。
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Research Products
(3 results)