2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J04353
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
矢部 竜太 一橋大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時系列 / 非定常確率過程 / 単位根 / ノンパラメトリック / セミパラメトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
(I)移動平均(Moving Average, MA)モデルの単位根近傍における条件付き最小二乗法の漸近分布について、説明変数が非定常過程に従う状況下での(II)ノンパラメトリック回帰モデルにおける経験尤度法を用いた信頼区間の構成、(III)セミパラメトリックモデルでのパラメータのセミパラメトリック最小二乗法を用いた推定問題の研究を行った。 (I)単位根のあるMAモデルは自己回帰モデルの定常性の研究などに応用されており、長年多くの研究がなされてきたが、MAモデルでの単位根や近接単位根での漸近分布の導出は未解決問題であった。本研究では近接単位根より広いModerate Deviationと呼ばれる単位根近傍を考え、この近傍のもとでは条件付き最小二乗法の漸近分布は正規分布に従うことを示すことができた。 (II)昨年度に引き続き、説明変数が非定常過程に従うノンパラメトリック回帰モデルの信頼区間の研究を行った。既存研究では、Wang and Phillips(2009)で得られたノンパラメトリック推定量の漸近分布に基いて信頼区間を構成する手法がある。この信頼区間は推定値に対して常に対称であるため、実証研究への応用上問題が生じる。そこで、データに依存して信頼区間を構成することの出来る経験尤度法を用いた信頼区間の理論の研究を行った。 (III)説明変数が非定常過程に従うノンパラメトリック回帰モデルでは、漸近論を展開するために説明変数の数を制約しなければならないというモデルの性質上避けられない問題があることが知られている。そこで、本研究では、Single-indexモデルと呼ばれるセミパラメトリックモデルを考え、理論上任意の説明変数の数を考えることが出来ることを示した。具体的には、セミパラメトリックモデルのパラメータの推定問題を扱い、セミパラメトリック最小二乗法の一致性と漸近分布を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
説明変数が非定常確率過程に従うSingle-indexモデルを用いた推定理論の研究は研究当初予定していた一致性や漸近論の結果が得られ順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られた結果は可積分性や誤差項と説明変数の無相関といった強い仮定のもとで得られた結果である。より広い実証研究に応用可能な結果とするために、総和可能性を認めないH-regular関数の下での推定理論の研究と内生性認める仮定の下での研究を行っていく予定である。 また、可能であればセミパラメトリックモデルを用いた予測やパラメトリックモデルとは異なるノンパラメトリック固有の金利の波及経路の分析手法を提案したいと考えている。
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Research Products
(8 results)