2013 Fiscal Year Annual Research Report
土地利用変化に伴う生物分布の将来予測 : 人為活動の退行がもたらす影響の把握
Project/Area Number |
13J04354
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山中 聡 北海道大学, 大学院農学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 耕作放棄地 / 生物分布 / 地表性甲虫 / 牧草地 |
Research Abstract |
平成25年度は北海道釧路地方においてオサムシ科甲虫類と草本・木本植生を対象としたフィールド調査を行った。 調査は北海道釧路地方(釧路市、釧路町、標茶町、鶴居村)で行い、調査地内の牧草地、湿性草地、耕作放棄地に計39地点の調査サイトを設定した。また調査サイトの内、耕作放棄地は、放棄年ごとに10年未満・10年以上20年未満・20年以上の3つにカテゴリ分けを行い、放棄年ごとに生息する生物の群集構造が異なるのか検証を行った。オサムシ科甲虫は各調査サイトにピットフォールトラップを16個設置し、6月および9月の各1週間、捕獲調査を行った。草本植物については、2013年8月から9月に各サイトに2m四方のコドラートを2つずつ設置し、草本植物(ヨシ・クサヨシ)および木本植物(ホザキシモツケ)の被度、草丈を測定した。調査の結果、オサムシ科甲虫の調査では45種3,650個体を確認することができた。 上記の野外調査で得られたオサムシ科甲虫の生息データおよび植生データを基に、牧草地が放棄されることにより創出された土地利用(耕作放棄地)が、過去の自然植生である湿性草地に回復するのか検証を行った。 解析の結果、放棄地に生息するオサムシ科甲虫の群集構造は、湿性草地よりも牧草地のオサムシ群集構造と類似しており、耕作放棄からの経過年数がオサムシ群集に与える影響は小さかった。また、植生についても、湿性草地と耕作放棄地では、ヨシ・クサヨシの被度に違いが見られ、耕作放棄後に成立する植生構造が湿性草地の植生と大きく異なっていた。このことから、耕作放棄地のオサムシ群集は放棄から20年以上が経過しても、湿性草地のオサムシ群集へと回復せず、またその要因としては、耕作放棄後に成立する植生構造が湿性草地の植生と大きく異なるためであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地域内の各土地利用(耕作放棄地・牧草地・湿性草地)においてオサムシ科甲虫の群集構造がどのように変化するか、予定通りフィールド調査およびデータ解析を進行させた。また、耕作放棄地は湿性草地と異なる植生構造を持つこと、オサムシ科甲虫群集についても耕作放棄地の放棄年による影響は小さいことが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度のフィールド調査およびの解析の結果、耕作放棄地でみれるオサムシ科甲虫郡集は、放棄年以外の他の要因が影響していることが示唆された。このため、平成26年度については、放棄年以外の環境要因(周囲の湿地面積などの景観要素)についても着目する。上記の環境要因が各土地利用によって異なるのか、また、これらの環境要因がオサムシ群集に与える影響を検証する予定である。また、調査地域においてどのような地域に耕作放棄地が発生しやすいか、耕作放棄地の発生要因の検証を行う。これにより、将来耕作放棄地が増加した場合に現在のオサムシ科甲虫分布がどのように変化するのかを検証する予定である。
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Research Products
(2 results)