2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータントマウスを用いた配偶子形成に関わる遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
13J04404
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 大和 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミュータントマウス / 精子形成 / 全ゲノムシーケンス / Sc5d / St14 / Dnahc8 / Zfp414 |
Research Abstract |
本年度の研究では未知の遺伝子の変異により精子の頭部形成に異常を呈する3系統のミュータントマウス(repro15、20、27)の原因遺伝子の同定を目的とした。各系統の表現型を引き起こす原因遺伝子の染色休上の位置は既に特定されており、repro15では第11番染色体35-54Mが、repro20では第9番染色体29-50Mが、repro21では第17番染色体18-45Mが候補領域であることが示唆された。そこで、次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を行い、得られた多型情報をデータベース配列と比較することで、各ミュータントマウスに特異的な塩基配列の抽出を試みた。その結果、候補領域内にrepro15では12個、repro20では35個、repro21では101個の新規多型が同定された。この内、ナンセンス変異やミスセンス変異などのタンパク質の機能に大きく影響することが示唆される多型はrepro20、21ではそれぞれ3個存在したが、repro15では同定されなかった。続いて、repro20、21で同定された新規多型の系統特異性を、正常マウスを比較対象とし、PCR-RFLP法及びサンガー法による塩基配列決定により確認した。その結果、repro20、21ではそれぞれ2個の多型が系統特異的な塩基配列であることが示された。repro20で同定された系統特異的な塩基配列はSc5d及びSt14遺伝子上に存在するミスセンス変異であり、repro21ではDnahc8遺伝子上に存在するナンセンス変異及びZfp414遺伝子上に存在するミスセンス変異が系統特異性を示した。これら4個の遺伝子はいずれもRT-PCR法により正常マウスの精巣における発現が確認された。以上から、これらがrepro20及びnepro27表現型の候補原因遺伝子であることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析により精子の頭部形成に異常のある2系統のミュータントマウスの候補遺伝子を同定した。これに加えて減数分裂が異常なミュータントマウスの原因遺伝子を同定し、かつその機能解析を行った。以上から、本年度の研究はおおむね順調に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
repro20、21マウスの原因遺伝子の同定を目的として、各系統のマウスに対する組織学的解析を中心とした詳細な表現型解析を行い、それと共に正常系マウスを用いて各候補遺伝子の発現時期・部位を特定し、それらの精子形成における役割を解明する。解析手法にはH-E染色等の一般的な染色法による組織観察、候補遺伝子産物に対する特異的抗体を用いたWB法及びIHC法、RT-PCR法を用いる予定である。両系統とも精子形成不全以外の表現型は未知であるため、それ以外の顕著な異常が認められた場合はそちらも解析対象とする。今年度の研究結果は、この表現型解析の結果と併せて、学会及び学術論文として発表する予定である。
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