2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータントマウスを用いた配偶子形成に関わる遺伝子の同定と機能解析
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13J04404
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 大和 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | spermiogenesis / ENU / mutant mouse |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにrepro20表現型の最有力候補原因多型をSc5d遺伝子に生じたミスセンス変異に同定したが、この分子の精子形成における機能を解明することを目的として、野生型マウスにおける発現様式を免疫染色により検討した。その結果、SC5Dのシグナルは精子の頭部・尾部の二ヵ所で観察された。精子頭部におけるSC5D発現は精子の成熟及び先体反応の影響を強く受けた。SC5Dは精巣精子ではacrosomal cap及びequatorial segmentにおける発現を示したが、精巣上体精子ではacrosomal capにおけるシグナルは消失した。先体反応後はequatorial segmentにおける発現も消失した。これらの部位は細胞間相互作用に重要であり、SC5Dが精子と卵の間で起こる接着・融合やセルトリ細胞との細胞間相互作用に関与することが示唆された。 repro21マウスの原因多型はDnahc8遺伝子で同定されたナンセンス変異である可能性が強く示唆されているが、この遺伝子の発現が消失するDnahc8Sアリルでは精子尾部が形成されない「whipless」表現型が現れることが報告されている。そこで本年度の研究ではrepro21マウスの変異型ホモに対する表現型解析を行った。H-E染色による精巣の病理学的解析を行った結果、精子は通常stage VIIIからstage IXの間にspermiationにより精巣から精巣上体に移動するが、repro21の精子はstage VIIまでに精細管より脱落することが分かった。走査電子顕微鏡により精巣精子を解析した結果、repro21マウスの精子は尾部を完全に欠損している訳ではなく、不完全で醜い非常に短い尾部を有することが分かった。また、精子頭部の表面が粗く、spermiationが異常であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精子形成に異常を呈する2系統のミュータントマウスについてその表現型と原因遺伝子の機能を明らかにした為、おおむね順調に進展していると判断した。現在これらの結果を投稿論文として発表するべく準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
各系統の原因遺伝子と相互作用する分子を特定する為、マウス生殖細胞cDNAライブラリーを用いた酵母ツーハイブリッド法を行う予定である。配偶子形成に特異的な機能を持つことが推測される関連分子の幾つかについて、当該遺伝子を欠損させたノックアウトマウスを作成し、その表現型を観察する予定である。
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Research Products
(3 results)