2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチグリッド法を用いた高速な大規模並列ポアソンソルバの開発及びライブラリの作成
Project/Area Number |
13J04456
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 直聡 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | XeonPhi / SIMD / ブロック化赤-黒順序付けガウザイゲルスムーザ / マルチグリッド法 |
Research Abstract |
近年の計算機シミュレーションではボアソン方程式を使用したが多数存在し、加えてこのボアソン程式の求解に要する時間がシミュレーション全体の計算時間のほとんど占める場合が多いため、ポアソン方程式をより高速にとける手法の開発及びライブラリの整備が急務となっている。申請者らは採用以前にマルチグリッド法のスムーザとして改良型ブロック化赤-黒順序付けガウスザイデルスムーザを提案し、これを用いることでスレッド及びプロセス並列環境において従来手法と比較して2倍以上の性能を得られることを確認してきたが、昨年度はこれに加えてXeonPhiコプロセッサにおける有用性の確認とこれに適した実装手法の提案を行った。XeonPhiは近年lntelが発表したコプロセッサであり、同世代のCPUと比較して6倍以上の理論演算性能を持っている。しかし、ほとんどのプログラムにおいてそのままXeonPhi上で実行し、同世代のCPUより実行時間が短くなることはない。これはXeonPhiが同世代のCPUとは異なったアーキテクチャを持っており、加えてSIMD演算や高い並列度を十分に活かす手法が必要なためである。これに対して、改良型ブロック化赤-黒順序付けガウスザイデルスムーザでは並列度には容易に対応できるが、計算核部分にガウスザイデル法を用いており、この手法は強い逐次性を持っているため、ここままではSIMD演算を利用することができない。そこで、このガウスザイデルス法においてループスプリッティングを適用し、一部を除いてSIMD化が可能となるようにした。加えて、XeonPhiのアーキテクチャを考慮した最適化を行うことで、提案した実装を用いない場合に対して35.5%の性能向上を得た。また、同世代のCPUを2つ用いた構成におけるブロック化赤-黒順序付けガウスザイデルスムーザの実行時間と比較しても35.1%早いという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においてXeonPhiの研究を行うにあたって、SIMD化の重要性は容易に推察でき、部分的なSIMD化を促進する実装手法の提案を行えた。しかし、本実装手法だけでは期待した成果を得ることができなかった。これは、同世代のCPUとは異なったアーキテクチャが採用されており、性能向上を阻害する要因を見つけることが困難であったためである。しかし、プロファイラの使用したり申請者がアセンブリコードを直接書くなど算機アーキテクチャの動作を細かく確認することで、最終的には性能向上を阻害しているいくつかの要因を見つけるにいたり、申請者が期待していた程度の成果をえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まではXeonPhiにおけるスレッド並列にのみ着目して研究を行ってきた。対して本年度はXeonPhi上にけるアロセス並列化を用いてより高い性能向上を目指す。XeonPhiはコプロセッサであるため、各ノードにはこれと別にホストCPUが搭載されている。また、各ノードに4枚乗っている構成も存在する。このような構成においてこれらの資源を有効に使うためにはプロセス並列化が適している。しかし、スレッド並列時同様、プロセス並列時にもXeonPhiのアーキテクチャ特融の性能向上を阻害する要因が発生すると考えらる。加えてXeonPhiとCPUの両方を使うためには、各ハードウェアにおける計算速度の差や通信における帯域も考慮する必要がる。これらの問題に対してスレッド並列を併用したハイブリッドな並列化やXeonPhi同士あるいはホストCPUとの位置関係を考慮した適切な通信を行うことで回避することが可能であると考えており、これらの点について研究を行っていく。
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Research Products
(3 results)