2013 Fiscal Year Annual Research Report
好白蟻性ハネカクシの分類学的再検討および特殊形態の進化
Project/Area Number |
13J04505
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金尾 太輔 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 好白蟻性 / 系統関係 / ヒゲブトハネカクシ亜科 / 未記載種 |
Research Abstract |
好白蟻性ハネカクシの種多様性を調査するため、研究計画に従い3度にわたる海外での野外調査を行った。7/23~8/24と2/11~2/26はマレーシアサラワク州ランビルヒルズ国立公園、また、12/2~12/15は、カンボジアカンポット州ボーコー国立公園での調査で、いずれもいくつかの未記載種を採集することができた。特にカンボジアにおける成果は大きく、得られた好白蟻性ハネカクシの8割以上が未記載種であった。この中には、属の分布北限を大きく更新するものや、既知種の中間的な形態を有する種が含まれる。これより、東洋区における好白蟻性ハネカクシの種多様性は明らかに過小評価されており、継続した調査の必要性が示された。また、平成24年度の野外調査と標本提供により得られていた、オオシロアリを寄主とするHodotermophilus gloriosus、Termophidoholus formosanusを再記載、Yakuus iwataiを新属として記載した。これに際し、交尾器形態や明らかに派生的な前・中脛節の端刺の集合より、これら3種の単系統性が示唆された。屋久島で同所的に分布するH. gloriosusとY. iwataiは、形態的特徴からも特に近縁と思われ、T. formosanusと分化したのち、寄主とともに日本に分布を拡大しながら、より最近種分化したことが示唆された。一方、これら3種の交尾器形態などを、野外調査で得られた同亜族内の別属と比較したところ、極端に異なるばかりか、族の形態特徴さえ満たさないことが分かった。現在は、好白蟻性ハネカクシの分子系統を調査するため、野外調査で得られたサンプルを用いてDNA実験を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に行った野外調査により、平成26年度に必要な研究材料を全て入手した。また、得られた未記載種に関してはすでに記載とDNA抽出を進行中である。よって本研究は、計画通り順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
野外調査で得られたサンプルを用いて、形態と分子情報に基づく系統関係を構築し、好白蟻性ハネカクシの分類学的再検討を行う。これまでの野外調査で得られた未記載種に関しては、新たに記載を行うとともに、既知種との形態比較をもとに既存の分類体系の族や属の定義の不足を補う。系統解析では、系統関係を反映した形態の評価と、DNAの抽出、PCR、シーケンスを進める。
|
Research Products
(3 results)