2013 Fiscal Year Annual Research Report
3本鎖形成配列を拡張可能な新規人工ヌクレオシドの創製
Project/Area Number |
13J04516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡村 秀紀 九州大学, 薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 本鎖DNA / 機能性人工核酸 / アンチジーン / 分子認識 / ゲノム標的分子 / 塩基対認識 / ミスマッチ認識 / 核酸合成 |
Research Abstract |
3本鎖DNAは、2本鎖DNAの主溝にもう1本のDNA鎖(TFO)が配列特異的に結合することで形成される錯体であり、バイオテクノロジーや核酸医薬への展開が期待される。しかし、その形成は、2本鎖DNAの片方の鎖がプリン塩基(A・G)のみで構成されるホモプリン領域に限定され、ピリミジン塩基(T・C)が1つでも存在すると、障害部位として3本鎖DNAの安定性を顕著に低下させてしまう。申請者は、3本鎖DNA形成配列を拡張することを目的とした人工核酸の創製を目的として研究を進めている。これまでの研究で、任意の配列において障害部位の一つであるCG塩基対を選択的に認識可能な人工核酸Guanidino-isodCの開発に成功している。本年度は、研究計画に基づき、CG塩基対認識に対する一般性を確立するための構造最適化を検討した。 まず、塩基部位の修飾によるスタッキング相互作用の増強を期待して、チエニル基・フリル基・プロピニル基を導入したGuanidino-isodC誘導体を合成した。これらの人工核酸を組み込んだTFOの3本鎖形成能を隣接塩基が異なる4種類の配列を用いて評価した結果、Guanidino-isodCでは安定に認識できなかった配列(5'側に隣接する塩基がAの配列)において、親和性の向上に成功した。次に、リンカー部位の固定化による親和性の増強を目的として、Guanidino-isodCのグアニジノエチル基をアミノピリジンメチル基に置換したAP-isodCを設計・合成した。その結果、AP-isodcは任意の配列においてCG塩基対選択的な認識を示した。加えて、AP-isodCのCG塩基対に対する親和性は、4種類の配列すべてにおいて、チミジンのCG塩基対に対する親和性よりも高いものであった。さらに、AP-isodCのアミノピリジンを種々の芳香族アミンに置換した誘導体を評価したところ、CG塩基対認識様式を示唆するデータも得られた。いずれの内容についても現在論文準備中であり、近日中に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した実施計画に基づき、研究を進めることができているため。論文についても近日中に投稿できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、1年目に得られた実験結果をもとに、さらなる構造最適化を目指す。具体的には、リンカー部位の固定化について更なる検討を行う。続いて、塩基部位の修飾とリンカー部位の固定化の結果を包括的に考察し、双方をドッキングしてさらなる親和性の向上を検討する。また、survivin遺伝子中の配列を標的とした転写阻害を目指すにあたり、予備検討を行う。具体的には、構造を最適化したヌクレオシドアナログを組み込んだTFOを合成し、標的配列に対する3本鎖形成能を評価する。基本的には、実験計画に基づいて研究を進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)