2014 Fiscal Year Annual Research Report
3本鎖形成配列を拡張可能な新規人工ヌクレオシドの創製
Project/Area Number |
13J04516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡村 秀紀 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工核酸 / 3本鎖DNA / アンチジーン / 遺伝子発現制御 / 核酸化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、3本鎖DNA形成配列の拡張を目的として、CG障害部位を選択的に認識可能な人工核酸の開発を目指した。 これまでに、CG障害部位を選択的に認識可能な人工核酸としてイソシチジン誘導体の設計・合成に成功しており、グアニジノエチル基を有する誘導体についてはOrg. Biomol. Chem誌に、アミノピリジンユニットを有する誘導体についてはChemBioChem誌にそれぞれ報告した。しかし、イソシチジン誘導体のCG塩基対に対する親和性は十分なものではなく、更なる改良が必要と考えられた。そこで、イソシチジン誘導体の評価結果をもとにして更なる構造最適化を図り、新たに擬シチジン誘導体を設計・合成した。この擬シチジン誘導体は、天然型のマッチの三重塩基対に匹敵する安定性をもって、選択的にCG障害部位を認識した。また、そのCG障害部位認識能は隣接する核酸塩基に依存しない、すなわち配列依存性を示さないという優れた性質を有することを見出した。現在、NMRを用いた3本鎖DNA中における認識構造の解明を目指しており、さらなる構造最適化を図る予定である。 一方、CG障害部位を複数個含むhTERTプロモーター配列を標的とした3本鎖形成能を評価したところ、擬シチジン誘導体を組み込んだTFOは非常に安定な3本鎖DNAを形成した。これまでに複数個かつ連続したCG障害部位を含む配列に対する安定な3本鎖形成は報告されておらず、革新的な結果と考えている。現在、研究計画通り、細胞系を用いた評価に向けて準備を進めており、今後は人工核酸を組み込んだTFOのアンチジーン効果を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、CG塩基対を選択的かつ安定に認識可能な人工核酸の開発に成功しており、おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づいて、開発した人工核酸を組み込んだTFOを用いて、細胞系におけるアンチジーン効果を検証する。細胞成長因子に関与する遺伝子のプロ―モーター配列に対する3本鎖形成能を調べたところ、人工核酸を組み込んだTFOが非常に安定な3本鎖を形成することをすでに見出している。今後は、このTFOを細胞に導入し、この遺伝子の発現を阻害できるかを検証する。また、3本鎖DNA中における擬シチジン誘導体のCG塩基対認識構造を、NMRを用いて確認する。認識構造を決定することで、さらなる構造最適化を図れるものと確信している。
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Research Products
(5 results)