2015 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンリモデリング因子CHDの包括的な機能解析
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13J04520
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
喜多 泰之 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CHD8 / クロマチンリモデリング / 自閉症 / 肥満 / 脂肪分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症(ASD)は社会性とコミュニケーション障害及び反復常同的な行動様式によって特徴づけられる広範な神経発達障害である。近年、ASDの患者で最も変異の頻度が多い遺伝子としてChd8(Chromodomain-helicase-DNA-binding protein 8)が同定されており、Chd8変異を持つASD患者は痩せ型が多いことが報告されている。このことから、代謝機能や脂肪分化におけるCHD8の重要性が示唆されるが、その機序は明らかになっていない。 今回私は、全身性にCHD8をヘテロ欠損させたマウスが、CHD8変異を持つASD患者と同じく、高脂肪食誘導性の肥満に対して抵抗性を示すことを明らかにした。これらの変異マウスから採取した脂肪前駆細胞において、脂肪細胞への分化能の障害が認められた。一方で、変異マウスの活動量、摂食量、体温、呼吸商といった代謝パラメーターは、野生型マウスと比較して顕著な異常は見られなかった。さらに、間葉系幹細胞特異的にCHD8を欠損させたマウスは著しい脂肪組織の減少を来すことから、CHD8へテロ欠損マウスの抗肥満表現型は脂肪分化異常が原因であるものと考えられた。また、脂肪分化誘導時、CHD8は分化マスター調節因子であるPPARγとC/EBPαのプロモーター領域へ結合し、その転写を活性化することによって分化を正に制御していることを示した。試験管内でCHD8をホモ欠損させると、このメカニズムによるPPARγとC/EBPαの発現抑制が生じ脂肪細胞への分化が強力に抑制されるが、この抑制はPPARγとC/EBPαの過剰発現によってレスキューできた。さらに、われわれは、生体マウスにおけるタモキシフェン誘導的なCHD8の欠損が、高脂肪食負荷による肥満及びインスリン抵抗性を防ぐことを示した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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