2013 Fiscal Year Annual Research Report
ピグミー系狩猟採集民の人口動態と生活史 : 人口変遷の歴史からみる集団存続の未来予測
Project/Area Number |
13J04585
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
萩野 泉 北海道大学, 大学院保健科学院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ピグミー系狩猟採集民 / カメルーン共和国 / 人口学 / ライフヒストリー / 人口動態 |
Research Abstract |
2013年7月~10月にかけて、カメルーン共和国東部州において現地調査を行った。東部州の地方都市L市近郊に点在するピグミー系狩猟採集民Baka族の定住集落4村への訪問を通して、 1)縦断的センサスデータ収集(2011年2月~)による、出生率・死亡率の算出 2)家系図の遡及的聞き取りによる、出生力の時代変遷の検討 3)複数集落にまたがる居住者の並び替え、現地イベントとの符合による住民の年齢推定(約500名) 4)身体計測調査(身長・体重など)による、同集団の子どもにおける栄養状態の評価 を目的とした諸調査を行った。 得られたデータの解析を通じて、対象地域における2011-2012年の居住者(4村、611人)における、平均年齢・性比・12ヶ月での粗出生率/粗死亡率を明らかにし、また家系図の遡及的インタビュー調査によって、家系図内に登場した既婚女性295人における平均完結パリティ(ある女性一人あたりの平均出生児数)を算出した。また、継続的な身体計測から得られたデータを元に、国際レファレンスデータから体格/体組成からみる栄養状態を推定し、さらに成長曲線・成長速度曲線を描画することで子ども期間における定量的な成長パターンを推測した。本年度の調査・研究活動を通じて、本研究の2つの軸である、1)生活史の解明(とくに子どもの成長速度、再生産期間における平均児出生数)と、2)人口動態変遷の歴史(現在の出生力)のそれぞれについて進捗を得ることができた。 また、研究実施計画において予定していた投稿論文執筆・学術大会における発表においても、それぞれ概ね計画通りの成果を上げることができた。(投稿論文 : 英文原著筆頭1、図書 : 英文筆頭1, 共著1、国際学会・研究会発表 : 筆頭3, 共箸1、国内学会 : 筆頭1)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールド調査においては、継続的なデータ収集(人口学調査・身体計測調査)を行いながら、既婚女性を対象としたデリケートなインタビュー調査においても、有用性の高いインタビューデータが得られた。 また、フィールド調査で得られたデータは、論文執筆(英文原著 : 筆頭1、英文図書 : 筆頭1, 共著1)・学術大会/研究会発表(国内 : 筆頭1、国際 : 筆頭3, 共著1)などに確実に結実することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度においても、夏季に同地域にて現地調査を展開し、さらなるデータ収集を行う予定である。 カメルーン共和国東部州に現在居住しているピグミー系狩猟採集民の人口分布・人口動態について調査し、また家系図の遡及的インタビュー調査を継続して行うことによって、過去・現在それぞれにおける、同集団の出生力と人口増加傾向について明らかにする予定である。 また、第51回日本アフリカ学会学術大会、第25回日本成長学会などにおける学会発表、Jounral of Public Health Nutrition誌、Human Biology誌などへの原著論文投稿を行う予定である。
|
Research Products
(6 results)