2014 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア・シベリア出土品から見たシルクロードの織物技術と文化交流に関する研究
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13J04627
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
村上 智見 帝塚山大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ウズベキスタン / モンゴル / ロシア / 考古学 / 染織 / シルクロード |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴルとウズベキスタンなどでの調査により、大陸における各地の織物の特徴を明らかにすることができた。地域の織物技術が交易織物製作に影響を与えることが明らかとなったことから、今後は交易織物の製作地特定が可能になる見通しが得られた。 匈奴織物の調査では、中国製、西方製、現地製の織物を確認、各特徴を明らかにした。従来、匈奴では織物製作が行われなかったと考えられてきたが、毛製のZ撚糸織物、フェルト、動物の腱を使用した織物などが現地製の特徴であることがわかった。さらに中国や西方の織物に、現地製の織物やフェルト、刺繍を加えるなどして、好みにアレンジしていたことが明らかになった。 突厥壁画墓出土品調査では、中国製、西方製、現地製と考えられる国際色豊かな織物が明らかになった。シルクロード地域で見られる各種の織物がモンゴルで初めて確認できた。正倉院宝物と同一錦の存在は重要な発見であり、678年の碑文を伴うことから、正倉院錦に年代が付与され、後の時代に混入した法隆寺布である可能性が強くなった。地域色の強い織物も含まれていた。モンゴル高原における盛んな東西交流を裏付けるものであり、シルクロード研究および織物研究を大きく進展させる成果が得られた。 ウイグル墓出土品調査では、織物によって墓の年代がが判明した。 モンゴル帝国期の織物調査では、金糸には和紙の台紙、動物の腸膜の台紙に金箔を貼る技法と、西方渡来の「ナシチ織り」を確認した。さらに、従来知られていた平金糸・撚金糸技法の他に、絹糸一本一本に直接金属(金泥あるいは箔)を塗布する技法を明らかにした。 ソグディアナ(現ウズベキスタン)の織物調査では、炭化や金属銹着化織物、土器布圧痕、紡織具調査や民俗調査などから、当地の織物文化を復元した。ロシア所蔵のソグド錦とされる織物調査では、ソグド錦の特徴が明らかになり、区別の難しいペルシャ錦との分類が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予想していたなかった研究機関(モンゴル科学アカデミー歴史学研究所、モンゴル国立歴史博物館、カラコルム博物館、モンゴル国立大学などモンゴルの各研究機関。ブリヤート国立博物館、ロシア科学アカデミーシベリア支部、ロシア国立歴史博物館など)や研究者からの協力を得ることができ、調査資料を大幅に増加させることができた。さらに、各研究機関が協力することで、順調に研究を進めることができている。 さらに広範囲の地域・時代をカバーすることができたことでデータが充実し、より大きな成果を得ることができた。当初の計画以上に、非常に充実した内容の研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き調査を実施するとともに、これまで収集したデータから文様・技術・材質など織物の各時代・地域的特徴を明らかにした上で、製作地の特定を試みる。さらに、どのような織物がどこで製作され、どこへ流通したのかについて詳細に検討する。さらに事例研究を総合し、これまでの研究成果と比較する。すでに調査が行われ、詳しいデータが公表されているものについても併せて検討することとする。 さらに西アジア・東アジア・日本との比較を試みる。これまでのシルクロード織物の先行研究、および申請者がこれまでに行った研究データとの比較を行い、最終的にシルクロードの織物技術と文化交流としてまとめる。
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Research Products
(2 results)