2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04635
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
森田 理仁 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 少子化 / 進化生物学 / ヒト / 繁殖戦略 / 統計分析 / アン・ケート調査 / 数理モデル / 人間行動進化学 |
Research Abstract |
出生率の低下により生じる少子化は, ヒトに固有の, 一見したところ既存の進化生物学の理論では説明することができない興味深い現象である. 本研究は, 少子化を進化生物学の視点から統合的に研究することにより, ヒトの繁殖戦略の解明を目指すものである. 研究計画で示した以下の三つのアプローチについて, それぞれの実績の概要を報告する. (1)既存の統計調査のソースデータの分析 内閣府政策統括官が実施した「少子化社会に関する国際意識調査」, および, 家計経済研究所が実施した「消費生活に関するパネル調査」という二種類の統計調査のソースデータを用いて, 継続して分析を行っている. 具体的には, 結婚や子どもの数に影響を与える要因や, 繁殖に関する意思決定の時間的変遷の解明を目指している. 特に後者については, 新たな統計解析の手法を導入したことにより, 今年度に研究が著しく進展した. (2)社会施設における子育て世代を対象としたアンケート調査 調査の目的の一つは, 「父親と母親で出産や子育てに関する意見がどのように違っているのか」を明らかにすることである. 質問紙の作成, 調査方法の設定, 当該施設との打ち合わせ, 倫理委員会への申請等を経て, 2013年10月から12月にかけてアンケート調査を実施した. すでにデータの入力と基礎的な分析は終えており, 協力していただいた方々へのフィードバックも行った. (3)数理モデルを用いた理論的検討 未婚率の上昇と夫婦出生率の低下という二つの要因について, どちらがより少子化に大きな影響を与えているのかを解明するための研究に着手した. 実証データと簡単な数理モデルを組み合わせて, 現在分析を行っている. 上記の成果の一部は, 日本人間行動進化学会・第6会大会, および, Cooperation and ConflictintheFamily conferenceにおいて研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたペースで研究が進捗している. 今年度中に論文としての発表はできず, 学会発表も二回にとどまったが, その分中身に時間をかけ, 質の高い研究を行うことができたと自負している. また, 来年度以降の研究に向けての課題も整理することができ, 「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果を国内外の学会やシンポジウムで発表するとともに, 海外の研究グループを訪問してディスカッションを行う. これにより, 研究結果をより強固なものへとブラッシュアップすることができるとともに, 国際的なネットワークを構築することができると期待される. また, 分析や調査を継続して行うことと並行して, 論文の執筆を開始する.
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Research Products
(3 results)