2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04635
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
森田 理仁 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 少子化 / 出生率 / 進化生物学 / 行動生態学 / 人間行動生態学 / 進化心理学 / 人間行動進化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
出生率の自発的な低下を伴う少子化は,ヒトの行動の進化を理解する上で大きな課題である.2014度は,研究計画に沿った以下の四つのテーマについて,研究を進めた.なお,記した結果はいずれも暫定的なものである.そして,すべての研究について,進化生物学の理論をもとにした考察を行っている. 【研究1:子どもの数に影響を与える要因】内閣府が実施した調査のソースデータを用いて,子どもの数に影響を与える要因について研究した.分析の結果,初婚年齢が若いほど生涯にもつ子どもの数が多い,収入や学歴は子どもの数にあまり影響を与えない,といったことが明らかになった.2014年度は分析を終え,現在,結果を博士論文の一章としてまとめている. 【研究2:出産の起こりやすさに影響を与える要因】家計経済研究所が実施した調査のソースデータを用いて,出産の起こりやすさに影響を与える要因について研究した.分析の結果,子育てにとって好条件になった時に出産が多く生じていることはなかった.さらに,子どもがすでに二人居ると,その後の出産が急激に起こりにくくなることがわかった.2014年度は分析,および,論文の執筆を終え,結果を学術雑誌に投稿した. 【研究3:子どもの数をめぐる父母間(夫妻間)の性的対立】行動生態学の理論をもとに,「女性の社会進出により,少ない子どもを望む女性の意思決定が男性より大きな影響力をもつようになれば,出生率は低下するのではないか」という仮説を立て,質問紙によるアンケート調査を行い検証した.その結果は,仮説を支持するものではなかった.2014年度は分析,および,論文の執筆を終え,結果を学術雑誌に投稿した. 【研究4:資源の豊かさや競争的な社会環境と少子化の関係】少子化について,数理モデルを活用した理論的な研究に着手した.2014年12月から翌年3月にかけてチューリッヒ大学を訪問し,共同研究を開始させた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受理までには至っていないが,研究の成果を二本の論文として,学術雑誌に投稿することができた.そして,海外の研究者を積極的に訪問するとともに,共同研究を軌道に乗せることもできた.また,国内外での学会発表についても予定通りに行うことができたことから,「おおむね順調に進展している」と判断される.
|
Strategy for Future Research Activity |
学術雑誌に投稿している論文については,査読結果をもとに改訂を行い,受理を目指す.数理モデルの研究については,引き続き海外の共同研究者とも議論を続けながら,内容をより充実させる.一連の研究の成果を,博士論文としてまとめ上げることにも力を注ぐ.
|
Research Products
(9 results)