2013 Fiscal Year Annual Research Report
周辺可燃物の着火特性及び気流の影響を考慮した室内火災拡大予測モデルに関する研究
Project/Area Number |
13J04651
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池 正熏 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱フィードバック / ポリウレタンブロック / 発熱速度 / 燃焼面積 / 周壁 / 熱流束 / 等時線図 |
Research Abstract |
1. 研究の目的及び方法 : 可燃物が壁近傍で燃焼するとき、壁からの熱フィードバックを受けて燃焼が激しくなる。熱フィードバックのメカニズムをモデル化しその影響を定量化できれば、自由空間での燃焼性状から壁際や隅角部での燃焼性状を予測できるようになり、火災安全設計における設計火源(想定する燃焼性状)の合理化に寄与できる。本研究では、可燃物として軟質ポリウレタンの立方体(500×500×500㎜、以下ウレタンブロック)を用い、自由空間、壁際、隅角における燃焼性状を測定した結果から熱フィードバックのモデル化を試みた。 2. 研究の進行状況及びこれまでの成果 (1)燃焼面の変化及び等時線図 : ビデオカメラ、ウエブカメラ、熱電対を併用しウレタンブロック各面における燃焼面の形状を測定し、燃え拡がり先端、燃え尽き先端の等時線図を作成した。 (2)単位面積当たりの発熱速度 : 燃え拡がり面積と燃え尽き面積の差から燃焼面積を求め、酸素消費法で測定した発熱速度を燃焼面積で割って単位面積当たりの発熱速度を求めた。 (3)燃焼物からの放射熱の計算 : ウレタンブロックから1m離れた位置の微小面に入射する熱流束を計算して測定値と比べた。その結果、火炎からの放射だけでなく後壁からの放射熱の影響が無視できないことを示した。 3. 意義及び重要性 (1)壁に対向する側面の燃焼性状は、壁と可燃物の問の隙間が小さい時には撮影が難しかった。本研究では熱電対、ウエブカメラ、CCDカメラを併用し、燃焼面積の時間変化をある程度の確かさで測定することに成功した。この結果を用いると、壁に対向する鉛直面での熱フィードバックを定量化することができる。 (2)単位面積当たりの発熱速度は、壁からの熱フィードバックにより極めて大きくなることを示した。 (3)放射熱の計算において炉、火炎からの直接放射だけでなく、高温になった壁表面からの放射熱も考慮する必要があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
壁に対向する鉛直面の燃焼面積の測定が当初の予想以上に困難であったので、測定結果の処理方法そのものの検討に立ち返る必要が生じた。そのため、壁とウレタンブロックの離隔距離が小さい条件での実験を追加し、熱電対データの併用方法と併せて検討を行ってきたため、若干の遅延を生じている。現住のところ、処理方法が確定したので、今後はスピードアップして快復に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 熱フィードバックの分析 : 壁からの熱フィードバックを予測する計算モデルを構築する。そのため、火炎から壁への熱流束を計算してその結果から壁の温度分布を推定し、その後、壁と可燃物の燃焼面の形態係数を、壁の温度分布を考慮して求めて、壁からの熱フィードバックを計算する。 2. 燃え拡がりおよび燃焼速度のモデリング : 壁フィードバックの定量化を完了した後には、これを外部放射として扱い、燃え拡がり速度の増加、単位面積当たりの燃焼速度の増加の2つのメカニズムで記述するモデルを絵治安する。
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Research Products
(4 results)