2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04652
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 花野 千葉大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | V型ATPase / X線結晶構造解析 / 構造生物化学 |
Research Abstract |
本研究では3つの異なるヌクレオチド結合部位構造をもつV型ATPaseの詳細な加水分解メカニズムを明らかにするために、様々な濃度のヌクレオチドをV型ATPaseのATP駆動モーター部V_1-ATPase (A_3B_3DF複合体)の結晶にソーキングさせてX線結晶構造解析を行い、それらの構造から加水分解メカニズムを議論することが目的である。 本年度では、2mMリン酸条件下でのV_1-ATPaseの結晶構造を得ることに成功した。リン酸はATP加水分解後に生じる物質であり、3つのヌクレオチド結合部位の1つに結合していた。この結合部位構造は加水分解が行われると考えられている部位(tightform)であった。一方V_1-ATPaseの中心軸DF複合体が抜けた状態であるA_3B_3複合体は10mMリン酸条件下でもヌクレオチド結合部位にリン酸が結合しなかった。これはA_3B_3複合体構造にtightformが存在しないためであり、このtight formは加水分解に重要とされているアルギニンフィンガーが他の結合部位構造よりもヌクレオチド結合部位に近づいている。この距離の違いがリン酸の結合親和性に影響しているのではないかと示唆される。この構造からATPが加水分解して生じたリン酸はすぐに解離せずにとどまっているのではないかと示唆される。この成果は学会で発表した。 また、ATPアナログが結合した新規構造を得ることにも成功しており、現在論文準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は様々なヌクレオチド濃度の溶液にV_1-ATPaseの結晶を浸けてX線結晶構造解析を行った。その結果、複数の新規構造を得ることに成功した。本成果の新規構造から加水分解メカニズムの理解が進んだことから、おおむね研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られた新規構造からV_1-ATPaseの加水分解メカニズムを議論するために構造解析を進める。また、加水分解メカニズムの更なる理解のために、他のヌクレオチドを用いた結晶化を続けることで更なる新規構造の獲得を目指す予定である。また、得られた新規構造情報から重要な残基を調べ、その残基に変異導入を行いATPase活性への影響やサブユニット同士の結合親和性を調べる予定である。
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Research Products
(1 results)