2013 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質工学的手法による耐熱性D-アミノ酸脱水素酵素の創製と応用
Project/Area Number |
13J04653
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋田 紘長 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | D-アミノ酸脱水素酵素 / D-アミノ酸 / D-分岐鎖アミノ酸 / 安定同位体標識D-アミノ酸 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
近年の分析技術の飛躍的発展を受けて生体におけるD-アミノ酸の解析が進み、重要な生理的機能が明らかになってきた。それに伴い、抗生剤等の有用物質にD-アミノ酸が使用され始めている。D-アミノ酸は主に酵素合成法によって合成されており、現在までに数種の酵素合成法が工業化されている。しかしながら、これら既存の方法ではD-アミノ酸前駆体の合成が不可欠とされ、酵素の安定性が低いため生産効率が悪い。これらの問題点を解決するため、申請者は、好熱菌由来のNADP依存性meso-ジアミノヒメリン酸脱水素酵素(meso-DAPDH)に変異導入して、耐熱性NADP依存性D-アミノ酸脱水素酵素(D-AADH)を創製した。D-AADHは、熱安定的に光学不活性な2-オキソ酸から高純度のD-アミノ酸を一段階で合成可能なことから、非常に優れたD-アミノ酸合成酵素である。一方で、D-AADHは補酵素の利用がNADPに限定される。そこでNADはNADPよりも安価である点に着目し、D-アミノ酸の合成における有用性と効率の向上を目指し、非特異的な変異導入、三次元構造モデリング、結晶構造解析に基づく変異導入によりNAD依存性D-AADHの創製を行った。 非特異的な変異導入と三次元構造モデリングに基づいたNAD依存性D-AADHの創製では、目的の変異酵素を取得できなかった。これらを踏まえ酵素の触媒機構の詳細な解明を進めるため、meso-DAPDH、NADP/meso-DAPDH複合体及びM DP/D-AADH複合体のX線結晶構造解析を行い、各々の構造解析に成功し、NADPの結合に関与するアミノ酸残基を明らかにした。 安定同位体D-アミノ酸の酵素合成のモデル実験として、NADP依存性DAADHによるD-アミノ酸の合成反応、及びグルコース脱水素酵素によるNADPHの再生反応、この二酵素反応から成る生産システムを構築した。その結果、D-分岐鎖アミノ酸とその安定同位体標識体の酵素合成法を確立した。本酵素合成法で得られる安定同位体標識D-分岐鎖アミノ酸の収率と純度は、既報の酵素合成法と比べて最高の値を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)