2013 Fiscal Year Annual Research Report
経済グローバル化による対外経済政策決定過程の変容 : アメリカ社会集団分析を中心に
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13J04657
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
冨田 晃正 同志社大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | グローバリゼーション / 通商政策 / 労働組合 / 米国 |
Research Abstract |
世界経済がグローバル化するのに伴い、すなわち、国際経済の変化が一国国内政治経済とその構成員に与える多面的な影響を科学的に解明する研究の重要性は、政策的にも、理論的にも増している。ここで多面的影響を明らかにするため、申請者は学術振興会のPDとしての3年間に、以下の三つの相互関連したプロジェクトに取り組んでいる。それは、(1)グローバリゼーションの進展が米国通商政策に与える影響についての研究を深めること、(2)米国労働組合が他国の労働組合や環境団体との間で実施する「トランスナショナルな連携活動」が国際システム対してどのような影響を与えているかの考察を行うこと、(3)経済グローバリゼーションの進展の影響を観察する目的で、米国一国に検証対象を限定するのではなく、他国との比較検証を行うこと、である。 本研究員が、学術振興会のPDとして1年目に中心的に取り組んだのは、グローバリゼーションの進展が米国通商政策に与える影響についての研究を深めることである。これは、グローバリゼーションが進展する1990年代までと、グローバリゼーションが進展した90年代以降での米国通商政策の変容を、労働組合という重要でありながら、先行研究で軽視されてきたアクターに着目することで明らかにしたものである。具体的には、グローバリゼーションの進展により、企業と労働組合が通商政策において対立姿勢を強めていることが、グローバル化時代の米国通商政策の実情を理解する上で必要不可欠であることを、実証研究により明らかにした。なお、こうした研究成果は、今までの研究成果と共に博士論文としてまとめ、2014年1月31日に東京大学総合文化研究科に提出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究員が特別研究員の在任中に掲げた3つの研究目的のうち、一つ目のグローバリゼーションの進展が米国通商政策に与える影響についての研究を深めることを実施し、博士論文の完成という形でその研究成果を結実させることができた。そうした点から、初年度の達成度としては、おおむね順調に進展していると判断することが適当であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
経済グローバル化の影響を観察する目的で、米国一国に検証対象を限定するのではなく、他国との比較検証を行う。経済のグローバル化が、各国の通商政策に与える影響を考察する研究をより理論的に行うためには、多国間の比較検証が必要となってくると同時に、それを行うことでより汎用性の高い研究となる。今後は米国のケースを軸として、韓国、日本との間での比較の実施を予定している。これは、研究計画通りの予定であるが、対象国に関しては、日本に特に焦点を当てる等の変更は考えている。
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Research Products
(2 results)