2013 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界貧溶媒を用いたカロテノイドナノ粒子製造プロセスの構築
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13J04670
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
根路銘 葉月 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | carotenoid / supercritical CO_2 / supercritical anti-solvent / nano particle / micronization |
Research Abstract |
<検討1>carotenoid/β-CD複合体ナノ粒子製造、最適化(溶媒選定、温度、圧力、CO_2流量、溶液流量) CarotenoidとCDを溶解する溶媒はDMFのみであった。原料lycopeneとβ-caroteneの粒径がそれぞれ約300μmで、50℃、14MPa、CO_2および溶液流量をそれぞれ25、0.25ml/minで処理することで約50-100nmのナノ粒子が得られた。分散沈殿性試験では試料を水に加え、400 rpmで1hr撹拌し分散性の有無を確認後、20 hr静置して沈殿の有無を確認した。原料carotenoidは水に全く分散せず、静置後沈殿した。β-CDおよび処理後の複合体は瞬時に分散し、沈殿は無かった。物理的混合物はβ-CDのみが分散し、静置後lycopeneが沈殿した。 <検討2>より安全な溶媒でのβ-caroteneナノ粒子製造、最適化(溶媒種(hexane、ethyl acetate)、操作温度(40-60℃)、圧力(8-12MPa)) hexaneでは約10μmのプレート粒子、酢酸エチルでは約200nmのナノ粒子が得られた。低温および高圧条件でより微細な粒子が得られた。食品加工分野で使用が認可されているethyl acetateを溶媒として、carotenoidのナノ粒子を乾燥状態で製造することに成功した。 <検討3>carotenoid以外の薬品での比較検討「acetaminophen/β-CDのナノ粒子製造」 原料の粒径は約20μm。40℃、10MPa、CO_2を5ml/min、溶液流量0.75ml/minで処理することで約100nmのナノ粒子が得られた。carotenoid以外の薬剤の微粒子化でもこの手法が有効であることが確認できた。 <検討4>理論的解析(同軸二重管ノズル付近での流体のRe数、1/Pe数の確認) 検討1の最適条件では、流体の混合挙動を示すRe数は十分に乱流状態であることがわかった。また、Re数および拡散性を示す1/Pe数が大きいほど、得られる粒子の粒径が小さくなる傾向が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究計画に記載したcarotenoid/β-CD複合体ナノ粒子製造の最適化およびcarotenoid以外の薬品(acetaminophen)との複合体ナノ粒子製造は計画通り進んだ。結晶構造解析は使用できる機器の操作が難しく、分析が困難であったため、ほかに使用できる装置を検討している。生体評価は薬学部や医学部との連携が困難であったため、系内の流体挙動評価等、工学的な評価にシフトした。H26年度に計画していた理論的解析をH25年度に終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、研究計画に記載したとおり、carotenoid抽出物を用いて微粒子化を検討する。添加物としてα-CDやγ-CDを用い、オイル性の抽出物を乾燥状態の粉末に加工したい。検討したい原料は、トマト由来のカロテノイド抽出物である「トマトオレオレジン」や、高価な天然着色料として用いられるスパイスの一種「サフラン」を考えている。carotenoidとCDを完全に溶解するには、食品添加物として認可されていないDMFを使うことになるので、有機溶媒を使用せず、水で懸濁させたサンプル用いる予定である。その懸濁液を送液または、充填した容器を系内に設置し、超臨界CO_2の導入により溶解させて微粒子化槽で噴霧し、粉体を得たい。問題点としては懸濁液をポンプで送液することが可能かどうか、また、CDは超臨界CO_2に溶解しないため、試料とCDの複合体がきちんと超臨界CO_2と共に噴霧できるかを検討しなければならない。もしそれらが困難であれば安全な溶媒に溶解可能なその他の添加物(ポリマー等)の検討を行い、抽出物の粉末化を狙う。
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Research Products
(9 results)