2013 Fiscal Year Annual Research Report
長周期地震動を受ける超高層鋼構造建物の繰返しによる破断を考慮した耐震性能評価
Project/Area Number |
13J04696
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高塚 康平 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海溝型長周期地震動 / 繰返し載荷実験 / 鋼構造柱梁接合部 / 梁ウェブ接合方法 / 局部座屈 / 破断 / 変形能力 / 亀裂進展 |
Research Abstract |
①鋼構造柱梁接合部を対象に内陸直下型地震の応答を想定した大振幅を含む載荷履歴による載荷実験を行った場合, 兵庫県南部地震以前の設計法の方が現行の設計法に比べ変形能力が低いことが指摘されている. しかし, 海溝型長周期地震動の応答で想定されるような比較的小さな振幅による多数の繰返し塑性変形に対する変形能力については分析されていない. よって旧来の設計を模した梁ウェブボルト接合によるスカラップ工法の柱梁接合部を対象に一定振幅繰返し載荷実験を行い変形能力を分析した. その結果, 振幅が小さいと旧来の設計と現行の設計で変形能力や梁端の歪に大きな差はないが, 振幅が大きくなると旧来の設計の方が梁端の歪が大きく変形能力が低下する傾向が見られた. 長周期地震動の応答を対象とした場合, 旧来の設計と現行の設計で変形能力に大きな差はないと考えられる. ②実在する鋼構造建物の柱梁接合部は, 先行研究のように梁端にスチフナを設けて局部座屈を拘束することはしない。そこで梁端の局部座屈が変形能力に及ぼす影響を明らかにするために, 梁端の局部座屈を拘束しない柱梁接合部を対象に一定振幅繰返し載荷実験を行い, 梁端の歪や亀裂進展を分析した. その結果, 局部座屈が発生した場合はサイクル毎に耐力が低下しつつ亀裂進展は鈍化し, 破断が遅れる傾向が得られた. 十分な変形能力を有するH形鋼梁の場合は局部座屈によって変形能力が向上すると考えられる. ③スカラップエ法とノンスカラップエ法, 梁せい500㎜と800㎜, 梁端の曲げ耐力の大小の3つをパラメータとした5種類の接合部を対象に, 長周期地震動による応答を受けた場合の破断時期について比較した. その結果, パラメータの変形能力の優劣は兵庫県南部地震以降の研究で指摘されている優劣と対応するが, 変形能力の定量的な関係を予測するためには, 本研究で提案する評価手法のように振幅履歴の影響を考慮した評価が必要であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
兵庫県南部地震以前の設計による柱梁接合部の載荷実験は計画通り実施され, 海溝型長周期地震動を受けた場合の変形能力について考察を行った. 加えて, 実際の建物の梁端接合部で発生が想定される局部座屈の影響を今後の解析に反映させるために新たに載荷実験を行い, 局部座屈発生時のデータ蓄積を行った. これらをもとに接合形式の違いを考慮した梁端の破断時期の予測を行いつつ, 時刻歴応答解析による建物の破断を考慮した応答解析に現在取り掛かっており, 全体として①の「当初の計画以上」と判断した
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り, 超高層建物の時刻歴応答解析より得た応答履歴を対象に, 柱梁接合部の一定振幅載荷実験で得られた破断までの変形能力や亀裂進展のデータを元に作成した亀裂進展則を用いて破断評価を行い, 梁端の接合形式の違いが破断箇所や破断時期に及ぼす影響を分析する. また, 梁端や柱端で発生が想定される局部座屈も解析に考慮することで, 建物の挙動について分析する
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