2013 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスにおける受容体非依存性感染と病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
13J04708
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂口 翔一 京都大学, ウイルス研究所, 学振特別研究員(DC1)
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Keywords | ネコ / 内在性レトロウイルス / FeLIX / FeLV / 受容体 |
Research Abstract |
内在性レトロウイルス由来の蛋白が生体内で生理的役割を担っているという報告はされているが、未だ不明な点も多い。その中で、FeLV-T感染のように、外来性ウイルスの感染を内在性レトロウイルス由来の蛋白が助長し、病原性に関わっているという事例はFeLIXが唯一である。FeLVが感染したネコの約50%は免疫不全による感染症で死亡するが、野外のFeLV感染ネコの免疫不全発症にFeLIXが関与しているかは明らかになっていない。FeLV感染においてFeLIX蛋白が果たす役割を詳細に解析することで、レトロウイルスの感染機構がより詳しくわかる。また、FeLIX蛋白の各組織における発現パターンを調べることで、FeLVの組織指向性がわかり、FeLVの病原性発現機構解明の一助となる。また血液中のFeLIX蛋白の存在は確認されておらず、生体内においてFeLV-TがFeLIX依存的にリンパ球に感染していることを証明するためには血液中のFeLIX蛋白の存在を示す必要がある。 本年度は生体内におけるFeLIX蛋白の解析を行うため、FeLV非感染ネコ4頭を解剖し、全身組織を採材した。そのうち一部からRNAを抽出し、逆転写反応によりcDNA化した。また、Real-time RT-PCR用のプライマーを設計し、Real-time PCR系の確立を試みている。また採材した全身組織はホルマリン固定し、組織切片を作製中である。また、免疫沈降法の最適な条件を設定し、イムノブロットにより血清中のFeLIX蛋白の存在を証明した。イエネコの血液中にFeLIXを証明したのはこれが世界で初めてである。エンベロープがFeLV-T、コアにLacZ遺伝子を含んだシュードタイプウイルスの作製にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ネコの血液中におけるFeLIXの存在を証明し、生体内におけるFeLIX依存的なFeLV感染を証明することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
FeLV-Tのシュードタイプウイルスと、他のFeLVサブタイプのキメラを作製し、FeLIX蛋白とFeLV-T Envの相互作用部位を解析する。 また、FeLV EnvにおけるPHQモチーフのHを置き換えたシュードタイプウイルスを作製し、FeLIX蛋白の存在下、非存在下における膜融合の解析を行う。
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Research Products
(3 results)