2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代フィンランドにおけるサーミ人の伝統歌唱ヨイクとリヴァイヴァル運動の展開
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13J04773
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
下崎 久美 東京藝術大学, 音楽研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音楽民族学 / 文化人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、フィンランド国内に居住する三つのサーミ人グループ、北サーミ、イナリサーミ、スコルトサーミ、それぞれの民族の歴史や音楽文化を1930年代以降の文献資料、録音資料およびフィールドワークをもとに調査した。その結果、民族グループごとに、生活様式や文化的影響、そしてヨイクの音楽的内容が大きく異なっていることがわかってきた。このことから、まず、ヨイク以外のサーミの音楽文化を広く見渡すことを研究の方針に定め、各グループが影響を受けた讃美歌や泣き歌などの外来音楽の受容も研究に加えることにした。 さらに、今年度の調査で特に関心を抱いたのは、同親族内の年長者のヨイクのメロディーの一部を引き継ぐという、親族メロディー継承の伝統についてである。この親族メロディーの継承を行う人々は、現代ではかなり数が少ないことが予想されるため、調査の進み次第では、現在フィールドの地としているイナリとウツヨキ以外にも、調査の範囲を広げる可能性がある。 また、昨年度も一次資料として扱った、ラウニス著『ラップランドのヨイク旋律集(1908)』の分析を始めた。具体的には、歌い手ごとに各旋律で用いられる音や音域をまとめる作業を行っている。現段階では、全712種類のメロディーのうち約6割の分析が終わり、残り4割を来年度中に終わらせる予定である。また、この旋律集に登場する、20世紀初頭の代表的なヨイクの歌い手に関する調査も同時に今後進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次資料の分析が順調に進み、今後の研究の方針と、研究の中心的課題が定まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
一次資料『ラップランドのヨイク旋律集(1908)』の分析を引き続き行うとともに、親族メロディー継承の実態をフィールド調査を中心に進めていく。
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Research Products
(1 results)