2014 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブスズの概潮汐リズムを生み出す遺伝子・神経領域の解明
Project/Area Number |
13J04819
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
武方 宏樹 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 概潮汐リズム / 概日リズム / マングローブスズ / 脳間部 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
マングローブスズ成虫の歩行活動には、潮汐周期に応じて活動期と休息期を生み出す概潮汐リズムと、日周期に応じて活動量を増減させる概日リズムがみられる。これまでの研究で、本種の概潮汐リズムは概日時計とは異なる分子・神経機構から成る概潮汐時計によって生み出されることが明らかにされてきた。 まず、概潮汐リズムに重要な神経領域を探るため、脳の微小破壊手術を行い、概潮汐リズムへの影響を調べた。その結果、脳間部もしくはその周辺の領域を除去した場合、概潮汐リズムを示す個体の割合が減少するという結果が得られた。この結果は脳間部周辺に概潮汐リズムを生み出すしくみが存在することを示唆しており、昆虫において初めて概潮汐リズムに重要な神経領域が示された。 次に、概潮汐時計が存在する神経領域の特定を目的とし、神経組織の培養条件下での電気活動記録を試みた。その結果、マングローブスズから脳と胸部神経節を含む神経組織とそれらに酸素を送る気管を傷つけずに取り出す解剖手順を確立し、培養用チャンバーの作成と電気活動記録装置の立上まで成し遂げた。しかし、最適な培養条件を設定できず、電気活動の記録にまでは至らなかった。培養条件の改善が今後の課題である。 さらに、概潮汐リズムに関連する遺伝子を探索するため、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行い、概潮汐周期で変動する遺伝子を探索した。その結果、日周期のみを与えた実験室条件では、昆虫で知られている代表的な概日時計遺伝子の多くが日周期で変動すること、発現量が概潮汐周期で変動するコンティグが少数であることが明らかになった。次の段階として、潮汐周期で発現が変動する遺伝子の機能を推定するための解析が必要である。 本研究により、概潮汐リズムに関与する可能性のある神経領域と遺伝子がそれぞれ示された。これらは、概潮汐リズム生理機構の解明へ向けた足掛かりとなる成果である。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)