2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチオミクス解析によるクロマチンドメインレベルのエピジェネティック制御の解明
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13J04821
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野﨑 慎 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クロマチン / ヌクレオソーム / 一分子顕微鏡 / クロマチンドメイン |
Research Abstract |
真核生物において, クロマチンの構造やその内部の動的性質を知ることは, DNA上における様々な反応を理解するために重要である. また, このクロマチンの性質を知ることは, ヒストン修飾を中心とする「エピジェネティクス」の理解にもつながる. クロマチンドメインは, ヌクレオソームが不規則に折り畳まれることによって生じる「塊」のことであるが, 生細胞において, その存在が1分子レベルで観察された例はない. 2013年度はクロマチンドメインが, 生きた細胞で本当に存在するのかという問題に対して, ヌクレオソームの1分子観察技術を用いることにより, その観察に取り組んだ. まず, ヒストンH2BにPA-GFP (photoactivatable-GFP)を結合し, 安定発現するHeLa細胞を作製した. 次に, 1分子顕微鏡観察のために一般的に用いられるTIRF(全反射照明法)では, 核内を観察することができないため, 斜光照明法を用いることによって, 核内のピストンH2Bを1分子レベルで観察することに成功した. その結果, 生きた細胞の核内におけるヌクレオソームを網羅的に1分子レベルで観察し, 観察データから, 生きた細胞におけるクロマチンの超解像イメージを作製することができた. 得られた超解像イメージはヌクレオソームが一様ではなく, 偏って存在していることを示していた. さらに空間統計の技術を組み合わせることで, クロマチンドメインの存在を有意に示した. また, 薬剤を用いることでピストンのアセチル化を誘導し, クロマチンドメインが生きた細胞の中で変化する様子を観察した. このように, 2013年度はヌクレオソームを1分子レベルで観察するために必要な細胞と, 顕微鏡システムの作製を行った. 生細胞におけるクロマチンドメインの発見は転写や複製のような真核生物におけるDNA-proteinの相互作用によって起きる機能の理解のために非常に重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロマチンドメインの機能解明のために, 2013年度は生細胞内でヌクレオソームを1分子レベルで観察するために必要な細胞の作製と観察技術の開発に取り組んだ. その結果, 生細胞内におけるクロマチンドメインを観察することが可能になった, クロマチンドメインの存在が生細胞において確認できたことで, 第一段階は達成できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度はクロマチンドメインとその内部の動的性質を観察するための基盤作りを行い, クロマチンドメインの存在を確認することができた. 2014年度は, クロマチンドメイン内部におけるヌクレオソームの動的性質を調べることで, 機能性の解明について取り組む. まずは, アセチル化の誘導を行った際, ヌクレオソームの動的性質がどのように変化するか観察する. コントロールの細胞と比較することにより, ピストンのアセチル化がヌクレオソームの動的性質にどのように影響するかを知ることができる. 次に, 蛍光タンパクを結合した転写因子を発現する細胞の作製を行い, クロマチン内を転写因子がどのように動いているかを調べる. 最後に, ヌクレオソームの動的性質を変化させ, 転写因子の動きを同時に調べることで, クロマチンドメインと転写因子の関連性について調べる.
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Research Products
(3 results)