2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J04834
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂崎 貴俊 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日変動 / 衛星観測 / オゾン / 大気潮汐 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 成層圏オゾンの監視に用いられている太陽掩蔽観測データ(日の入と日の出の一日二回観測を行う)では、二つの時刻で観測値が有意に異なることが知られていた(2%-5%)。その要因はこれまで謎であったが、我々の研究によりオゾンの日変動(特に、大気潮汐鉛直流による鉛直移流)がその主要因であることを突き止めた。上記の結果を国際ジャーナル論文として公表した(Sakazaki et al., 2015, Atmospheric Chemistry and Physics)。
(2) 大気潮汐のうち、太陽非同期成分について力学的研究を行った。先行研究では東西波数展開に基づく波数空間での議論がほとんどであり、その実体が不明瞭であった。そこで本研究では、太陽非同期潮汐を物理空間で抽出する方法を新たに考案し、高解像度気候モデルデータに適用した。その結果、熱帯対流圏-下部中間圏における太陽非同期潮汐は、主にアフリカ大陸・南アメリカ大陸上空で励起され、三次元的に伝播する内部重力波の重ね合わせとして理解できることを明らかにした。また季節性についても明らかにし、特に成層圏界面半年周期変動(S-SAO)に伴う背景風フィルタリング効果が重要であることを示した。さらに、これらの日変動が気候場に与える影響を定量的に見積もった。その結果、成層圏内ではその影響は小さいが、中間圏の東西風駆動に寄与していることを示唆する結果を得た。上記の結果を国際ジャーナル論文として公表した(Sakazaki et al., 2015, Journal of Geophysical Research)。
(3)その他、再解析データを用いた大気潮汐の経年変化に関する研究、下部対流圏における日変動の研究、帯状一様日変動の研究などを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地球大気の日変動場について、本年度は昨年度からの継続課題である研究について二編の論文を執筆し、公表した。さらに、「東西平均成分の日変動」という新しいテーマを着手し、論文を投稿する準備を進めている。また、日変動の経年変化、下部対流圏の日変動についても新しいデータセットを用いて研究を進めつつある。以上のように、日変動に関する研究を多角的に推進しており、研究は順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在新たに進めている研究について、学会発表を行うと同時に論文にまとめ公表する。当初は気候モデル実験を並行して行い日変動が気候場へ及ぼす影響を調べる予定であったが、上記のとおり斬新かつインパクトの強い研究課題が見つかったため、その論文化作業を優先させる。
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Research Products
(12 results)