2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経修飾法による運動学習の操作・デザインを実現するための基礎的研究
Project/Area Number |
13J04917
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
上原 信太郎 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 運動技能 / 運動学習 / 切り替え能力 / 運動干渉 / ランダム練習 / 機能的核磁気共鳴画像法 / 神経修飾 |
Research Abstract |
本研究の目的は、運動学習に対して効果的に神経修飾法を活用するための基礎的知見を積み上げることである。今年度は、練習方法の違いが運動技能学習および関連する運動機能、とりわけ運動技能を切り換える能力に及ぼす影響を明らかにした。 実験参加者には、2つの異なる系列指タッピング運動をランダムな順序で実施してもらい、2つ運動を同時に学習することを要求した。一方で、別の参加者は、実験前日に各運動をまとめて行うブロック練習を実施した上で本実験に参加した。その結果、ランダム練習をしている際、前の試行と異なる運動を実施した試行では(切り換え試行)、前の試行と同じ運動を実施した試行(非切り換え試行)に比較して、運動パフォーマンスが低下することが確認された。ところが、これら試行条件間のパフォーマンスの差異は、ランダム練習の過程で軽減していくことがわかった。切り換え試行でのパフォーマンス低下は、まさに運動の"切り換え能力"に起因するものであり、試行条件間でのパフォーマンスの差異が軽減していく過程は、運動の切り換え能力が向上していく過程を反映しているものと考えられた。また、おもしろいことに、ブロック練習を通じて事前に十分な練習行った群でも同様の現象が確認された。 以上の結果、ランダム練習では、ブロック練習では十分に獲得できない運動技能の切り換え能力を効果的に獲得できることが明らかとなった。更に、運動の切り替え能力の獲得は、運動技能そのものの学習とは異なる脳内過程で処理されていることが示唆された。今後、切り換えに関わる脳内基盤を明らかにすることで、切り換え機能の向上を目指した神経修飾法の確立、および、その介入効果としての運動技能間の干渉軽減が期待できるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験データの取得、解析ともに、想定された範囲内の速度で概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験結果を裏付ける脳内基盤を明らかにするため、脳機能イメージングによって得られたデータの更なる詳細解析を進めていく予定である。
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