2013 Fiscal Year Annual Research Report
物理的刺激による多能性幹細胞の精密分化制御法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13J04923
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榛葉 健太 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | iPS細胞 / 電気刺激 / 微細加工 |
Research Abstract |
本研究では, iPS細胞に対して, 従来の薬理的な手法ではなく物理的な刺激を与えることにより, 分化誘導を行う手法の開発を目的とした. 物理的な刺激として, 刺激のパラメータを精密に制御可能な電気刺激を用いることを考えている. 計画の初年度に当たる本年では, 実験系の確立を目指し, 未分化状態のiPS細胞の維持培養系の立ち上げと, iPS細胞が分化能を保持していることの確認のための分化誘導実験を行った. また, 幹細胞が神経細胞へと分化していく過程を評価しながら電気刺激を行うことも重要な課題であると捉え, 培養環境下で電気刺激するためのデバイスに関する検討を行った. (1) iPS細胞の維持培養系の構築と, 従来手法を用いた分化誘導の再現 iPS細胞を安定して培養する条件を確立するため, 培養液およびフィーダー細胞について検討し, 培養細胞の品質に関して評価を行った. さらに, 従来手法を用いてiPS細胞を大脳皮質の神経細胞へと分化誘導した. 以上より, 培養条件の確立に成功し, 分化実験が可能であることを確認できた. (2) 培養デバイスを用いた電気活動の長期的評価と電気刺激についての検討 分化過程を観察しながら電気刺激することも分化誘導法の開発にとって有用であるとの視点から, 幹細胞が神経細胞へと分化していく過程を電気活動から評価可能なデバイスに関する検討を行った. 実際に, 神経細胞への分化途中の細胞をデバイス内で培養し, 周囲の神経細胞との間に行われる信号の伝播を評価したところ, 培養日数にしたがって活動が変化している様子の可視化に成功した. 以上より, 構築したデバイスは, 神経細胞の電気活動の計測と, 電気刺激の印加の両方が可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 集積化電極基板上でiPS細胞群を培養する安定条件の確立に注力した. 結果, (1) iPS細胞群を基板上で長期間安定して培養する条件の探索, (2)標準的な手法による神経細胞への分化過程の観測, (3)分化誘導細胞群-初代培養系間の結合形成過程観測用デバイスの設計製作など, コア技術において顕著な進捗があった. 初年度に確立した要素技術に基づき, 次年度以降, 興味深い研究成果が得られることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度でiPS細胞の安定した培養条件の確立を行った. 今後は, 培養したiPS細胞群に対して刺激を行い, 電気刺激が多能性幹細胞の分化方向に与える影響を評価する. また, 分化した細胞の成熟過程を可視化することも重要であるとの観点から, 本年度構築した結合形成過程の評価用デバイスを用いて計測を行う.
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Research Products
(6 results)