2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04944
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩渕 大行 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放電 / 絶縁破壊電圧 / パッシェンの法則 / マイクロギャップ / MEMS / 電界計算 |
Research Abstract |
近年の微細加工技術の発達に伴い、気体中や絶縁物表面の微小ギャップにおける絶縁破壊現象が大きな問題とされるようになった。特にマイクロアクチュエータに代表されるようなトルク出力が要求されるMEMSデバイスでは、出力が電界強度によって決定されるため、μm~nmオーダのギャップ間の絶縁の把握が重要な鍵となる。本研究においてはMEMSデバイスを模擬したSOウェハ上のマイクロ沿面ギャップにおける放電前駆現象および絶縁破壊電圧の測定を行い、マイクロ沿面ギャップにおける放電機構を検討した。 本研究で使用するマイクロ沿面ギャップはMEMSデバイスを模擬し、SO基板上にタングステン電極対とチタン電極対を加工したものである。SO基板は525μm厚のp-Si層と2μm厚のSiO2層(熱酸化膜)で構成される。このSO基板上の100nm厚金属膜に対して、マイクロギャップ電極対を加工した。ギャップ長は1,3,5,10,50μmのものを作製した。 MEMS構造を模擬したマイクロ沿面ギャップにおける絶縁破壊電圧の測定を行った。その結果、正極性インパルス印加時の破壊電圧は、負極性インパルス印加時の破壊電圧と比較して約1.5倍高い値となった。マイクロ沿面ギャップ近傍の電界分布を鑑みると、正極性インパルス印加時は陽極近傍の誘電体表面、負極性インパルス印加時は陰極が初期電子の放出源となることが示唆される。また、前駆電流の発生状況から、ギャップ間での金属蒸気の発生が前駆現象に大きな影響を与えていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はマイクロ沿面ギャップにおける絶縁破壊機構の検討を実験を中心として行った。当初予定していたタングステン電極におけるインパルス電圧印加時の絶縁破壊電圧、前駆放電現象の体系的なデータ取得に加え、材料による比較、電極厚さの影響の検討まで実施することができ、計画以上の成果が得られたものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在マイクロギャップ間における絶縁破壊電圧の検証のため、粒子シミュレーションによるプラズマ挙動解析を実施している。次年度はシミュレーションを継続し、本年度取得した絶縁破壊電圧特性との比較を行う。また、直流印加時の前駆電流特性、F-Nプロット特性をもとに電極表面状態を示す電界強化係数を推定し、絶縁破壊機構検討の一助としたい。
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Research Products
(10 results)