2013 Fiscal Year Annual Research Report
マキャベリアニズムが社会的不適応を引き起こすメカニズムの検討
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13J04958
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 敏健 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マキャベリアニズム / 社会的不適応 / 抑うつ / 心の理論能力 / 視点取得課題 / 行動の抑制能力 / ストループ課題 |
Research Abstract |
Christie & Geis (1970)は、対人関係における他者操作的な側面の個人差を記述するために、マキャベリアニズム(以下Mach)というパーソナリティ概念を導入した。Machの高い個人(以下高Mach者)は、自己の目的のために他者を操作し社会的な成功を収めやすいように一見思えるが、実際は社会的に適応していなくメンタルヘルスに問題を抱える可能性が示されている。Machが社会的不適応を引き起こすメカニズムが明らかになればメンタルヘルス管理の上でも重要性が高いため、そのメカニズムを以下の2点から検討した。 1、相手の心的状態を理解する能力を心の理論能力と呼ぶ。高Mach者は心の理論能力が高い必要があるが、先行研究では心の理論課題(感情認知課題)においてMachと課題成績は負に関連した。そのため心の理論能力の低さが高Mach者の社会的不適応を起こす可能性がある。そこで別の心の理論課題(視点取得課題)とMachの関連を検討するために、Dumontheil et al. (2010)により作成された課題の日本語版を作成し、実験を実施した。その結果、先行研究と同様の結果が得られ日本語版の妥当性が示された。現在の所、課題成績とMachの関連は見られておらず、実験参加者数を増やした検討が必要である。(研究1) 2、高Mach者は行動の抑制能力が高い必要があるが、質問紙研究によるとMachと行動の抑制能力は負に関連する。そのため行動の抑制能力の低さが高Mach者の社会的不適応可能性を起こす可能性がある。しかし先行研究では質問紙を指標としているため、結果が自己に対する認知を反映しているだけの可能性がある。そこで研究2では行動指標(ストループ課題)により実際の認知能力を測定し、Machとの関連を検討した。その結果、高Mach者は低Mach者よりも行動の抑制能力が低いことが示された。(研究2)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1では海外の研究者が考案した心の理論課題の日本語版を作成し、その妥当性を示した。この課題は国内でも使用を希望する研究者がおり、我が国における心の理論研究の発展に貢献できた。研究2では「質問紙間の関連を見ることが多く、結果が自己への認知を反映しているだけの可能性がある」というパーソナリティ心理学が抱える問題に正面から向き合い、認知実験を用いた検討を実施し、仮説を支持する結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では実験研究による横断デザインを取っていた。実験研究を行うことで質問紙研究では測定できない実際の認知能力についてのデータを集めることが出来た。しかしその反面、横断デザインを用いたことにより変数間の相関関係までしか議論できず、変数間の因果関係について議論することが出来なかった。そこで今後の研究では質問紙研究による縦断デザインを取り入れることで、変数間の因果関係を検討する。それと並行して、研究1で見られなかったマキャベリアニズムと心の理論能力の関連について、実験参加者数を増やした検討を行う必要がある。このように実験研究と質問紙研究の双方の長所を取れ入れた研究を行なっていきたい。
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Research Products
(1 results)