2013 Fiscal Year Annual Research Report
オキサイドメタラジーと超塑性現象を応用した核融合炉第一壁構造材料の接合技術開発
Project/Area Number |
13J04983
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
能登 裕之 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンゲステン / 酸化物分散強化鋼 / 拡散接合 / 異材接合 / 変態超塑性金属 / 高温クリープ変形 / 熱応力緩和 |
Research Abstract |
申請者は、当初、熱応力を超塑性現象の発現しやすい金属(S50C鋼)をタングステン(W)と酸化物分散強化鋼(ODSS)の中間材に用いることによりW中に発生する熱応力の緩和できると考えた。その研究目的として、変態超塑性発現機構に基づいて、適切な超塑性発現の熱処理による接合強度の上昇を調査することとしていた。 この熱応力緩和法において着眼点となるのが、駆動力の変動である。超塑性実験は一定荷重でクリープ試験が行われるが、熱応力緩和法では、接合後冷却段階で、緩和が進むにつれ駆動力(熱応力)が減少する。そこで当該申請者はS-TAN(結晶粒配向性の影響を受けないW)/S50C鋼/ODSS拡散接合を実施し、4種類の後熱処理を与え、接合後の破壊強度を比較した。この結果、変態超塑性に特有の、相変態温度を往復する典型的な温度サイクルよりも、変態温度域を徐冷で通過したものが一番高い強度を示した。4種類の後熱処理において、相変態通過時間に対し、接合強度をプロットした結果、相変態通過時間がより長い熱処理を施された接合体ほど高い破壊強度を示しており、最も長くさらされた熱処理で、曲げ強度が377MPaに達し、これまでのW/ODSSの接合強度としては最も高い値となった。つまりこれらの結果は、相変態時(γ相からのα相析出)に異相間の内部応力が発生し続ける熱処理が最も効果的であることを示している。そして最終的に申請者が発見した接合強度の上昇は変態超塑性金属を応用した「変態誘起高温クリープ変形」であると結論付けた。 本研究結果では、従来の接合法をはるかに凌ぐ、高い曲げ強度が得られており、変態誘起クリープ変形によるとする発現機構は、学術的にも重要である。また、本手法は、異材接合を必要とする核融合炉ダイバータならびに他の金属との異材接合にも応用することが可能であると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)