2014 Fiscal Year Annual Research Report
内在性受容体の特異的on cellケミカルラベリングと時空間的機能解析
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13J04988
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 卓幸 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / タンパク質ラベル化 / 蛍光イメージング / pulse chase解析 / live cell / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、天然に存在する蛋白質に対し、その活性を保ったまま機能性分子を選択的に修飾する手法「リガンド指向型アシルイミダゾール化学 (Ligand-Directed Acyl Imidazole, LDAI)ラベル化法」を開発してきました。これまで生理的に意義の高い七回膜貫通型のGPCRへの適用を目標とし、GPCRの一つであるブラジキニン受容体 B2Rを標的にして検討を行ってきました。ブラジキニン受容体のラベル化剤として、peptide性のantagonistのN末端に反応基であるAcyl Imidazoleと修飾するbiotin probeを連結した化合物を作成し、Wild typeのB2RをtransfectionしたHEK293細胞に、そのラベル化剤を添加し、3 hourインキュベーションを行いました。その後、HRP-conjugated Streptavidineを使ったwestern blottingによりラベル化を評価すると、B2Rと同じ分子量域からバンドが検出され、ラベル化が確認できました。この手法によって、ラベル化されたタンパク質の挙動を追うことで、そのタンパク質の半減期や、分解経路を解析すること(pulse chase解析)に成功しました。 これを受けて、昨年度は、さらに別のタンパク質NMDA受容体のラベル化・pulse chase解析を試みました。同様にNMDA受容体に結合するリガンドに反応基を連結したラベル化剤を作成し検討を行った結果、B2Rと同様に細胞内Lysosomeでの分解挙動が観察されました。また、本研究の最初のターゲットであったhCA12タンパク質に対して、二色の異なる色素でタイミングをずらしてラベル化することで、マルチカラーイメージングに成功し、より詳細な分解挙動の解析を行うことができました。これらの検討から、LDAIラベル化法の標的タンパク質を拡張でき、さらに新たなマルチカラーによる解析に適用できることが実証できました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LDAIラベル化法の標的タンパク質の一般性を主張することができ、またマルチカラーイメージングへの展開ができ手法の有用性が示されました。これらの一連の研究は、米国雑誌「Chemistry & Biology (Cell press)」に論文が掲載され、新聞にも取り上げられました。 論文投稿後には米国に留学を行い、今後の研究に必須なペプチド合成の知識や技術を取得しました。 また、帰国後はLDAI化学を新しい技術に展開しました。このテーマは本研究目的にマッチする研究内容(下記)であり、研究に励んでいます。この成果は、すでに論文をまとめ上げる程であり、当初の計画以上に進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
LDAIラベル化法による受容体のラベル化法の有用性が実証されました。そこで、今後はLDAI化学を生理的な環境に応答したラベル化法に展開し、受容体タンパク質をラベル化、プロテオーム解析に向けて検討を行う予定です。生体内・細胞内の環境は局所によって異なりことが知られます。例えば、がん細胞周辺は低酸素であり、また細胞内では活性化した際には金属イオン濃度が異なります。そのため、ある特定の環境下におけるタンパク質のみをラベル化することは生理学的な環境とタンパク質とを関連付けることのできる手法になります。これによって、環境を志向した内在性の受容体ラベル化・同定が期待でき、その機能解析につながると思われます。
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Research Products
(3 results)