2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J04993
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅井 泰子 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2015-03-31
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Keywords | 繊毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、繊毛運動に必要な構造であるダイニン腕の組み立て、繊毛への運搬の分子機構解明を目的としている。 近年、繊毛運動の異常が先天性水頭症、男性不妊、内臓臓器の左右非対称性の異常を引き起こし、ヒト遺伝病 (繊毛症)の原因となる事が報告されている。繊毛症の原因遺伝子の一つとしてゼブラフィッシュから単離されたPcdrp (Primary Ciliary Dyskinesia Related Protein)に着目し研究を進めている。 当研究室において、Pcdrp遺伝子のコーディング領域を欠損したノックアウトマウスを作成した。Pcdrpホモノックアウトマウスは繊毛内部構造のダイニン腕の著しい減少を示し、繊毛運動が全くみられなかった。その結果繊毛症と呼ばれる内蔵臓器の左右非対称性の異常、水頭症が引き起こされる事が明らかになった。 さらにPcdrp::Venus BACトランスジェニックマウスを作製しPcdrpの局在を解析した。その結果、Pcdrpは運動性繊毛を持つ組織、マウス8日胚ノード、気管、精巣で確認でき、その局在は運動性繊毛を有する細胞に限局して細胞質内全体でdot状に局在した。このことから、Pcdrpは細胞質内でのダイニン腕の組み立て、運搬に機能している可能性が考えられた。さらにPcdrpのダイニン腕に対する詳細な機能を明らかにするためにPcdrp::Venus BACトランスジェニックマウスと、野生型の精巣に対してGFP抗体とPcdrp抗体を用いて免疫沈降を行った。それぞれのサンプルについて質量分析計を用いた溶液ショットガン解析により、Pcdrp結合蛋白質を得た。 Pcdrp、Pcdrp結合蛋白質、ダイニン腕同士の関係性については、今後のさらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動性繊毛が全く動かなくなるというPcdrpノックアウトマウスの表現型を確定でき、Pcdrpの細胞内局在が運動性繊毛をもつ組織の細胞質全体である事を明らかにできた。さらにPcdrpの結合蛋白質候補も得られたのでおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたPcdrp結合蛋白質候補からどの蛋白質がPcdrpと結合し、ダイニン腕の複合体形成、繊毛までの運搬に関連するのかを今後解析する予定である。 具体的にはショットガン解析から得られた結合蛋白質候補についてウエスタンブロッティングによりその結合を確認する。さらにPcdrp結合蛋白質はダイニン腕と結合するのか、Pcdrpノックアウトマウスでその結合に変化はあるのか、Pcdrpノックアウトマウスでダイニン腕複合体の組み立ては正常に行われているのかどうかを確認する。 さらにPcdrp結合蛋白質ノックアウトマウスを作製しPcdrpノックアウトマウスと同様に繊毛運動が無くなる表現型を示すのか確認する。
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Research Products
(1 results)