2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織のメカニカルストレス応答機構に関する系統的研究
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13J05121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
太田 岳 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 振動 / ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織への機械的な振動刺激負荷によって歯科矯正学的歯の移動速度が増加することがこれまで報告されてきた。しかしながら、本現象のメカニズムは依然不明な点が多く、メカニズムの解明には振動によって歯周組織に存在する細胞群がどのレベルの微小な変形を受けるかを詳細に検討する必要がある。 昨年度に得られた研究結果においては、Type 1 Collagen(Col-1)コーティングしたシリコーン膜(円形)上にストレインゲージを接着し、振動下におけるひずみ測定を行うことでμストレインレベルのひずみを計測することに成功したが、ひずみの主方向やシリコーン膜の場所によるひずみの変化に関する実験が不十分であった。そこでひずみの主方向をロゼットゲージを用いて求め、さらにひずみの分布を調べた。結果、主ひずみはシリコーン膜が描く円の中心を通る方向であり、ひずみの振動波形の位相は位置によって逆になった。このような実験系において、マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞をシリコーン膜上に培養し、Runx2、Osterix、Col-1、Alkaline Phosphatase遺伝子発現の変動をリアルタイムPCR法で調べたところ、加速度に依存した変動が認められ、振動加速度による骨芽細胞の分化の制御可能性が示唆された。 また、in vivoにおける歯槽部の血管が受ける振動刺激の影響に関する研究については、マウスの歯槽部の血管をイメージングする予備実験を終了した段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究成果を論文としてまとめて投稿し、学会においても発表を行った。さらに今後の研究を行う上でも必須である実験装置の改良を行い、振動によって生じたひずみの主方向や位置による大きさの変化を詳細に検討した。今後の研究を行う上でも必須の環境を整えたといってよく、これからは申請者が既に習得している通法に従った研究を行うことで計画が予定通りに進むものと考えられる。以上からおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって振動刺激によって生じる細胞培養面のひずみの様相が明らかとなった。この結果から、正確な振動入力を細胞に加えることが可能となったため、初年度、振動刺激による骨芽細胞の分化および骨形成マーカー遺伝子の発現上昇が確認されたひずみの値を参考に振動パラメータを決定し、まずは骨芽細胞への振動負荷実験を実施することが重要である。さらに振動刺激が何らかの生化学的なシグナル伝達を通して骨芽細胞に作用することが考えられるため、代表的なシグナル伝達物質の同定を重要視した研究を行っていく予定である。また、in vivoにおける歯槽部の血管が受ける振動刺激の影響に関する研究については、昨年度実施した予備実験を参考に振動刺激下におけるマウス歯槽部の血管内の応答を流体力学的に解析し、振動刺激による歯の移動速度の促進との関連を調べる。
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Research Products
(6 results)