2014 Fiscal Year Annual Research Report
力学系理論に基づく小惑星探査機のミッションデザインに関する研究
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13J05126
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小野崎 香織 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軌道設計 / 航空宇宙工学 / 力学系理論 / 制限3体問題 / 不変多様体 / ラグランジュ点 / 非自律系 / ラグランジュ・コヒーレント構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,不変多様体やトーラス体等の力学系に現れる様々な構造を利用して,小惑星への低エネルギーの輸送軌道の設計を行うことを目的としている.これまで,チューブ(不変多様体)を利用して2つの3体問題の繋ぎ合せを行う,結合された3体問題の拡張に取り組んできた(本年度の国際会議にて口頭発表1件).しかし,結合された3体問題は3体問題の有効領域が考慮されていないので,より現実的なモデルで考えた場合に設計した軌道が定性的に異なってしまう問題点がある.この問題に対して,(1)3体問題の有効領域を考えた上で,結合された3体問題において軌道設計する,(2)現実的なモデルに近い4体問題を3体問題の摂動系とみなすことで4体問題にて軌道設計する,というアプローチをとった.以下に研究成果の詳細を記す. (1)太陽,地球,月,宇宙機からなる4体問題を考え,2つの3体問題に近似する.4体問題と3体問題の運動方程式を比較することで太陽と月の摂動を求め,摂動が釣り合う条件から3体問題の有効領域を得た.有効領域を考慮した上で2つの3体問題の結合を行い,地球近傍から太陽-地球系のラグランジュ点L2周りに存在するリアプノフ軌道へ向かうDESTINYミッション(ISAS)の新規提案を行った.以上の研究成果として,国内発表を3件行っている. (2)4体問題を2つの摂動を有する3体問題とみなし,それぞれの摂動系にてラグランジュ・コヒーレント構造を用いてチューブを明らかにした.チューブの構造を利用することで,2つの摂動系を結合させることで,4体問題における軌道設計が可能となった.本研究は有効領域を考慮する必要なく4体問題にて軌道設計を行うものであり,新しい軌道設計方法である.上記の研究成果として,国内の研究会にて口頭発表を1件行っている,今後,研究成果をまとめ,論文投稿を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3体問題の有効領域を考慮した上で,結合された3体問題に基づく軌道設計を行うことを課題として,地球近傍から太陽-地球系のラグランジュ点L2周りに存在するリアプノフ軌道への遷移および捕捉を考えるDESTINYミッション(ISAS)の軌道の新規提案を行った.さらに,4体問題を2つの摂動を有する3体問題とみなして,有効領域を考える必要なく4体問題における軌道設計を行うことに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
4体問題を2つの摂動を有する3体問題とみなして軌道設計を行う手法は新しいものであるが,燃料消費の最適化を行った低エネルギーの軌道は未だ発見できていない.そこで,従来の軌道に比べてコストが小さい低エネルギーの軌道開発を目標に研究を推進する.
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Research Products
(6 results)